三峡ダム地区、新たな経済スポットに


 三峡ダム地区に今、経済発展に向けて大きなチャンスが訪れている。4大産業の育成とそれに伴う政府の支援、移転企業の再建と企業構造の調整が実施されたことで、同地区の経済は着実に発展し続け、新たな経済スポットになりつつある。

 国務院三峡建設委員会弁公室は2001年に、農業部の協力を得て三峡ダム地区での柑橘類・牧畜業・水産養殖業の育成計画を作成するとともに、国家旅遊局など6部門と観光事業発展計画の共同策定に着手。4大産業はようやく順調な経営をめざす軌道に乗り始めた。

 柑橘類では、無ウイルス育苗基地を6カ所に建設、350万株の種苗を提供できる態勢が整った。2003年に着工した2000ヘクタールにおよぶ柑橘類モデル基地はすべて完成し、一部で苗木定植作業を開始。牧畜関連では、4カ所で牛・羊の育成プロジェクトが始動し、一部で生産を始めたほか、良種の牛や羊を生産する基地も3カ所に建設され、4000頭(匹)の供給が可能となった。この2分野で主力企業の進出が相次いでいる。万州匯源柑橘加工工場はすでに操業を開始、年間オレンジジュース生産量は20万トン、果物加工量は10万dにのぼり、一部移転住民の就職が確保できた。忠県で建設中の重慶三峡建設集団柑橘類加工工場も間もなく完成の予定。

 水産養殖業と観光業も現在、順調に発展している。計画によると2010年までに、柑橘と牧畜では32億元の生産高を達成するとともに、20万人の就業の機会を創出する。観光業では外貨収入で約10億ドル、総収入で1000億〜1200億元を実現。同時に18万人を雇用して、約20万人を数える移転住民の生活向上をめざす。

 円滑に住民を移転させ、ダム地区の問題を解決して地域経済を振興するため、国務院は全国に支援を呼び掛けた。それを受けて、多くの省や市が地元の労働集約型企業の同地区への移転を積極的に指導すると同時に、移転住民を対外派遣労働者として企業が受け入れるなど、就業や再就職の解決支援に乗り出した。基盤施設や公益施設の建設などでも積極的に支援。交通や郵便・電信、教育・文化、医療施設が拡充したことで、移転住民の生産・生活条件は大幅に改善された。

 三峡ダム工事に正式に着工したのは1993年。移転企業の再建と企業構造の調整が進んで地域経済は発展し始め、経済・社会の総合力も著しく増強され、経済発展をリードする中核企業も誕生した。また合併・買収や破産、閉鎖を通じて、市場化商品を持たず、赤字が深刻で、環境を汚染する企業が淘汰されたことから、工業収益は好転し始めている。

                              「チャイナネット」 2004/07/05