北京市、文化財の映画・テレビ制作の規制強化へ


 北京市文物局の梅寧華局長は先ごろ開かれた同市第12期人民代表大会常務委員会の第13回会議で、文化財を利用した映画・テレビの制作を厳しく規制するとした『北京市の中華人民共和国文物保護法の実施に関する方法』の草案について説明した。さらに梅局長は「文化財に指定された側も大規模なイベントを開催する回数を減らすとともに、開催する場合は文化財のある場所はできるだけ避けるべきだ」との考えを示した。

 この数年来、故宮や太廟などトップクラスの文化財の撮影を求める映画・テレビ制作会社が増え続けており、商業イベントの開催でも会場に文化財のある場所を選ぶ傾向がある。たが、撮影はそう簡単ではない。安全確保を除き、国家文物局に申請して許可を得る必要がある。ただ許可を得ても、一般に撮影できるのは外観だけに限定されており、文化財そのものは撮影できないのが現状。国家文物局の規定では、出版物やAV(音響・映像)製品などの制作で2級と3級の文化財の撮影が必要な場合、省・自治区・直轄市人民政府の文物行政機関に許可申請を行い、1級文化財の場合には、文物行政機関が審査した後に国務院の文物行政主管機関に申請し許可を得なければならない。

 全国の重要文化財を撮影する場合には先ず、申請書の提出が義務づけられている。申請者の名称や撮影内容と目的、撮影時間と場所、撮影に関する具体的な説明書、文化財の安全を保障する防護措置などを明確に記載しなければならない。考古学発掘に関するドキュメントやライブ番組の制作、書画や壁画、絹織物、漆器など損傷しやすい特殊で貴重な文化財を撮影する場合にも関係書類の提出が必要。最終的に国家文物局秘書処が受理するかどうかを決定し、受理した場合は政治法律処が責任をもって審理し、必要な場合には関係機関に意見を求めた上で、労働日数20日以内に審理した意見を申請者に報告する。

 故宮などトップクラスの文化財の撮影については、国家文物局の許可のほか、撮影開始前に故宮の管理機関と正式な協定書を結び、撮影地点や時間、文化財の保護措置などに関して詳細な規定を設ける必要がある。一般に、撮影は観光客の邪魔にならないよう参観時間以外に行われる。故宮では現在、2005年の創設80周年を記念する100回シリーズのTVドキュメント『故宮』を撮影中。この撮影では文化部と国家文物局の許可を得ている。

 故宮の関係者は「現在の政策は言えば、撮影を奨励しないものだ。実際、許可を得たとしても、故宮のような文化財の撮影では制作コストが跳ね上がるため、力のない制作会社では無理だ」と話している。

 現在、故宮や太廟、長城、頤和園、避暑山荘、孔子廟などトップクラスの文化財の撮影や、文化財のある場所でのイベントや文化活動など開催に関する申請件数は年間少なくとも数千件にのぼる。仮に1件につき100万元の費用を支払うとして、全国で最少でも1億元の収入に達する。承徳の避暑山荘では「文化財の保護が第一義であり、使用料が主眼ではない」と強調している。

                       「チャイナネット」 2004年8月2日