馬王堆漢墓の女性死体の「身体検査報告」公表


 湖南省博物館と中南大学湘雅医学院は8月7日、出土してから30年がたった湖南省長沙の馬王堆漢墓の女性死体の保存状況に関する「身体検査報告」を共同発表した。公表内容によると、「2000年間墓室で眠り続けていたこの辛追の死体は良好な状態を保っており、皮膚には弾力があり、関節は動かすことができ、軟骨組織は肉眼でもはっきり見て取ることができる。レントゲン写真によると、この女性の死体の骨質は現在の正常な60歳の人よりもよいものである」と言うことである。

 湖南省博物館館長の陳建明氏は7日に行われた「馬王堆漢墓発掘30周年国際学術シンポジウム」の席で、今回の「身体検査報告」の発表に至った経緯について説明し、説明によると、辛追の死体は新たな場所に移して保存する必要が生じ、博物館側の要請を受け、中南大学湘雅医学院は解剖学、組織学、病理学、微生物学、放射線学及び外科学などの専門家を総動員し、2年間を費やして女性の死体に対し、全面的かつ綿密な検査と評価を行った。

 この「身体検査報告」によると、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーなどの方法を使って、30年間使用されつづけた保存液、別々に保存された女性の死体の消化器官、泌尿器官、生殖器官、脳膜及び死体が保存されているガラス製の棺に対し、細菌及びばい菌検査を行ったが、いずれも検出されなかった。

 無菌状態で、死体右すねの前の皮膚、すねの筋肉組織、肝臓組織を採取し、光学顕微鏡と電子顕微鏡を使って観察した結果、大部分の組織は30年前の検査結果と基本的に変わりはなかった。特に驚くべきことは死体の骨の構造が基本的に正常で、30年前に血管に注入された造影剤は依然として鮮明に見て取ることができた。死体の外観、肌色には顕著な変化はなく、皮膚がまだ弾力を保っていた。結果的に見て、これまでの保存方法が正しいものだったということになる。

 現在の辛追の死体はすでに湖南省博物館の陳列棟の地下にあるこの死体のため特に作られ、しかも保存に適した「地下寝宮」に移された。「地下寝宮」は地面から8メートル下のところにあり、恒温で同じ湿度が保つことができ、この女性が2000年余り眠り続けてきた地下の環境に極めて近いものである。

 陳建明氏は「引き続き技術を強化し、医学界と協力して定期的に女性の死体に対し検査と研究を行うことになっている」としている。史料の記載によると、辛追は西漢の長沙国の宰相利蒼の妻で、紀元前186年、50歳ぐらいの時に死んだ。1972年に、辛追の死体が墓地から出土した時、全身の皮膚には光沢があり、皮膚が完全に体を覆っており、毛髪も生えており、手の指・足の指の紋がはっきりと見え、筋肉が弾力を保っていた。世界でこれほど悠久の歴史をもつミイラ化していない死体の発見は始めての事であった。出土後、世界中の人々をアッといわせ、衝撃を与えた。

          「チャイナネット」 2004年8月12日