馮昭奎氏の評論「中日関係の現状の五つの特徴」(2)


 (4)「政冷」が「経熱」に影響を及ぼし始めた

 中日両国の二国間貿易は近年、急成長している。しかし中国全体の対外貿易と比較してみると、中日貿易の成長は比較的緩慢だ。2002年と2003年を例に採ると、中国の対外貿易は2002年に21.8%増、2003年に37.1%増だったが、対日貿易は2002年に16.2%増、2003年に31.1%増にとどまっている。

 2004年上半期、中国の輸出成長率は35.7%増だったが、対日輸出は23.5%増にとどまり、その伸び幅は中国の十大輸出対象国・地域で最低だった。

 (5)エネルギー問題が重大な試練になる

 エネルギー問題は、中日両国の間に確実に存在している多くの利益の互恵点と衝突点を反映し、現在の中日関係における重大な試練となりそうだ。つまり、両国が既存のエネルギー資源を十分に利用するとともに、新しく開発・採掘する「利益互恵点」を両国国民の福祉のために使えるか、既存の「利益互恵点」が「利益衝突点」に転化することを避けられるか、既存の「利益衝突点」が実際の衝突を引き起こすことを避けられるか、あるいは「利益衝突点」がこれから「利益互恵点」に転化できるか(例えば領有権をめぐって論争している島々と海域で共同開発を展開していけるか)など。

 人類は現在、再生できない伝統的エネルギーへの依存から、再生できるエネルギーの依存への過渡期にある。この過渡期において、中日両国はエネルギー供給源の多元化を図る分野で必ず競争関係となりそうだ。もし両国がこうした競争関係をうまく処理できなければ、再生エネルギーや新エネルギーの開発と普及、省エネルギーの分野における不可欠な協力に対して十分に重視しなければ、中日関係に損害を与えるようにもなるだろう。

 石油・天然ガスなど伝統的エネルギーの供給を保証することは、国家の存亡にかかわる大問題だ。中日両国にとってエネルギー問題は最も協力しなければならない分野であり、最も対立と衝突を避けなければならない分野なのだ。石油・天然ガス供給源が「譲りようのない狭い道」であり、両国の間にある広大な海域で海底石油・天然ガス資源を開発し、両国で石油を輸入するパイプラインが競合する現状において、中日両国ないしは中日韓3カ国は、こうした状況に対して開発協力こそ唯一の出口であると最終的に認識するだろう。なぜならひとたび対立したなら、結局得るものは何もないことになるからだ。

 エネルギー問題は中日関係の転換点となる見込みがあるかもしれない。東アジア地域協力の転換点となる見込みがあるかもしれない。ちょうど、欧州の統合がかつての仏独両国による「欧州石炭鉄鋼共同体」(ECSC)から出発したように。

                      「人民網日本語版」 2004年8月16日