大きな潜在力のある中国の草種子市場


 近年、草産業の急速の発展によって、全国的に草種子の供給が需要に追いつかない状態となり、草種子市場はその大きな潜在力が見せている。

 中国農業科学院草原研究所などの最新データによると、現在、中国では4つのケースの草種子供給不足が見られる。

 1、生態系環境の保全の需要。中国国務院が公布した「全国生態環境保護建設計画」及び「『第十次五カ年』計画綱要」によると、2010年までに、人工による草栽培と草地改良の面積は5000万ヘクタール、砂漠化土地の回復面積が2200万ヘクタール、水土流失の改善面積が900万ヘクタール、耕地から草地への回復面積が660万ヘクタールとなっている。

 2、緑化建設の需要。2001年2月、国務院が召集した全国緑化会議では、国土の緑化を生態系環境の保全及び改善の根本的措置と位置づけ、できれば5年から10年をかけて、全国国土の緑化レベルの著しい向上を目指すこととしている。現在、中国の都市人口1人あたりの芝生面積は10平方メートルだが、先進諸国の一人当たりの芝生面積は50平方メートルに達している。

 3、良質牧草の生産の需要。国内の牧畜業の発展及びアジア草産業の発展につき動かされて、影響を受けクローバー始めとする良質の牧草の生産が日増しに重視されるようになっている。

 4、西部大開発の需要。中国の西部地域は生態系環境がかなり劣悪で、水土流失も深刻で、年間降水量は400mm以下で、草産業発展の空間は大きい。

 内蒙古農業大学生態環境学院副院長の李青豊氏によると、気候条件、科学研究のレベルなどいろいろな面の制約を受けて、全国でも良質な草の種子は極めて少ない。最新データでは、中国の毎年の草種子の需要は30万トンであるが、今では、国内の生産量は10万トンにも満たない。

 中国農業科学院草原研究所所長の徐鋳氏によると、国内の草原の現状から見て、退化した草地の回復及び改良には、人工草地の建設が効果的な手段であるが、良質の牧草がその前提である。中国に適した良質の草種子を育成するために、中国農業部、中国科学技術部は相次いで、特別資金を投入し、共同で数多くの草種子を育成するプロジェクトを実施した。それと同時に、中国農業部、中国科学技術部の指導の下で、中国農業科学院草原研究所、山東省農業科学院草原研究所、甘粛省草地生態研究所など国内の主要な草種子の研究部門提携して、オーストラリアの国際農業研究センターと共同でクローバーの劣悪な環境での育成・生長についてのプロジェクトに取り組み、良質の草種子の選別及び育成の拡大に力を入れ、極めて大きな進展を見せている。

 それぞれの地域の生態系に適した良質の草種子品種の選別、種子の生産の拡大は、生態系の保全にとっても牧畜業の持続的発展にとっても非常に重要なことである。

                         「チャイナネット」 2004年8月23日