高校生らが、珍しい植物の遺伝子を発見


 ∇希少野生植物がブタの飼料に

 昨年2月、冬休み中の浙江省黔江中等学校高校2年の伍泉霖、肖堯、楊玉容、談玲ら4人の生徒たちがインターネットで「中国重点保護野生植物目録」を閲覧しているうちに、絶滅に頻している植物「こがね色のソバ」の写真を目にした途端、アッと驚いた。

 これは地元で、「野生の苦蕎」と呼ばれていたもので、いつも農民たちが漢方薬やブタの飼料などに使っており、黔江あたりでは、伍泉霖らがこの「こがね色のソバ」によく似た植物をよく目にしていた。両者がどういう関係にあるのか、生徒たちは大いに興味をもち、学校の科学技術教育担当教師の協力を得て、いくつかの標本を採取し、地元の環境観測所に届けた。その後、標本は北京まで転送されることとなった。

 専門家の鑑定結果では、高校生たちが発見したのは、なんと珍しい野生植物の「こがね色のソバ」であった。

 ∇200ヘクタールの野生の「こがね色のソバ」を発見

 黔江中等学校は生徒たちの発見を重視し、冬休みが終わり、新学期が始まるとともに5人の教師の引率のもとに、伍泉霖たちの所属する高二―10クラスの40名の生徒からなる「こがね色のソバ」調査研究グループを結成した。

 黔江にはどれだけのこがね色のそばが存在しているのか、生長状況はどうなのか、どこまで分布しているか、広大な面世紀での作付け、開発、活用が可能かについて、研究が必要となった。

 放課後と週末を利用し、教師たちの指導の下で、伍泉霖君たちは5-10人が一組になって、黔江全域において詳しい調査を行うことにした。だが、参考にすることのできるデータがないに等しかったため、生徒たちは父兄や、地元の村びとたちから「こがね色のソバ」の生えている場所をとことん聞きだし、そして一カ所ずつ考察することとした。その後経験も増え、新しい場所えを訪れるたびに、まず地元の漢方医の教師を訪ねることにし、貴重な手がかりやデータを集められるようになった。

 考察の範囲は山地、丘陵、ダム所在地域、河川流域に及び、海抜400-1800メートルの高所まで登ったりすることもあった。高校生たちは勉強もあるので、休みの日に日帰りでしか調査できなかったし、経費もなく、困難を極めた。

 学校と教師たちの協力を得て、高校生たちが約10ヶ月をかけて、500平方キロメートルの地域を踏査した。苦労のかいがあって成果を目にするようになったこの調査で、黔江地域内には、野生の「こがね色のソバ」が200ヘクタールも存在し、黔江以外の地域を含めれば230ヘクタールにも及び、現在中国では最大の面積である。

 ∇農業部が30万元の特別資金を提供

 黔江には全国最大の野生の「こがね色のソバ」の原生地があるという。この重大な発見をそのままにしてはなるまいと、今年2月に、45名からなる調査研究グループは調査研究の結果を「黔江野生『こがね色のそば』に関する調査研究」という論文にまとめ上げた。「こがね色のそば」の原生地の保全、統一管理、広大な面積での作付けなどのテーマにわたる漢字1万字に及ぶ論文が直ちにインターネットで公表された。今年3月、アメリカ、日本など外国の専門家らからの問い合わせが相次ぎ、さらには、伍泉霖君ら高校生グループとの共同研究の提案も出されるに至った。

 学生たちの標本が再び北京に届けられ、中国科学技術委員会の専門家によって鑑定され、高校生たちの調査研究は認められることとなった。伍泉霖君たち調査研究の一助として、農業部は直ちに調査研究グループに野生植物「こがね色のそば」保全のための特別資金30万元を提供した。

 今では、諸方面のサポートと高校生グループの努力で、1.3ヘクタールの「野生こがね色のそば原産地保護区」が設置され、高校生たちの汗と知恵が実ることになった。

 関係資料によると、野生の「こがね色のそば」は、痛みや消化不良の解消、ガン細胞増殖の抑制などの効能があり、薬用価値が極めて高い。そして、野生の「こがね色のそば」は中国の「野生農業作物保護目録」に組み入れられた国の2級保護指定植物であり、江蘇省、浙江省など一部の地域にわずかにしか生長していない。 1997年に「中国重点保護野生植物目録」に収録され、重慶市の野生植物遺伝子バンクの重要構成部分となり、同時に中国野生植物遺伝子の初期の重要構成部分ともなっている。

                            「チャイナネット」 2004年8月27日