タリム油田、タクラマカン砂漠の「緑の回廊」に変貌


  "死の海"と呼ばれてきた新疆ウイグル自治区タクラマカン砂漠の周辺と腹部に広がるタリム油田。大規模な石油・天然ガス資源の開発と同時に、防風と防砂を兼ねた森林・緑地帯の建設が進められてきたことで、タリム油田は今、現代的な「緑の回廊」を備えた石油の町へと変貌しつつある。

 1995年、"死の海"だった天険に自動車道が完成。タクラマカン砂漠を南北に縦断するタリム自動車道は総延長522キロ、世界に知られる古代シルクロードの南道、中道と結ばれたことから、数千年にわたる砂漠征服という人類の夢は現実のものとなった。

 タクラマカン砂漠では風と砂による被害が甚大で、自動車道の長期にわたる安全運行を確保するため、タリム油田は1991年から中国科学院の新疆生態・地理研究所、寒区(寒冷地帯)乾区(干ばつ地帯)環境・工程研究所と共同研究に着手。地下の苦く辛い水を利用して砂漠で大規模植樹を行う関連技術を開発し、砂漠の腹部に約217ヘクタールの防砂緑地を建設した。タリム中四油田が実施した「砂漠自動車道防護林モデルプロジェクト」も3年間、管理と保護を徹底してきたことから、樹木の高さは2メートルを超えるまで生長し、自動車道の砂被害もほぼ食い止められ、生態環境は以前より改善された。

  2003年8月には、全長436キロにおよぶ「タリム自動車道防護林生態プロジェクト」が全面的にスタート。防護林の幅は72〜78メートルで、総面積は3128ヘクタール。樹種は干ばつや冷害などに抵抗力の強い灌木が主体。水源となる114の井戸の掘削はすべて終わっており、灌漑システムは250キロの部分で完成、苗木の移植は193キロに達した。2005年までに緑の回廊が誕生し、"死の海"は生気を取り戻すことになる。

 タリム盆地中部のほか、砂漠の周辺に位置するタリム油田の哈得(ハド)や輪南(リンナン)、牙哈(ヤハ)、東河(ドンフ)、桑吉(サンジ)などの作業区や生活区にも緑地帯が完成。作業区の緑地面積は30.57ヘクタール。西南部にある生活区はかつて果てしないゴビが広がっていたが、この数年で緑化面積は100ヘクタールに達した。石油基地の周辺にも「緑の屏風」が完成。国内で最も辺境にある石油の町は魅力ある地に変貌しつつある。

 絶えず延び続ける緑の回廊。タリム盆地での石油・天然ガス資源の探査・開発を促進し、新疆南部の経済・社会の発展と辺境の安定を推進するうえで緑の回廊が果たす役割は計り知れない。

                           「チャイナネット」 2004年8月31日