青海・チベット高原に広がる凍土地帯で長年にわたり調査を行ってきた専門家は先ごろ、羌塘(チャンタン)盆地が温度、圧力の両面から天然ガスと水の化合物を形成するための条件を備えているとして、この凍土地帯に大量の「可燃氷」が埋蔵されている可能性のあることを明らかにした。
中国科学院寒区(寒帯地帯)乾区(干ばつ地帯)環境・工程研究所の呉青柏研究員は「青海・チベット高原は中緯度に位置する時代の最も若い、海抜の最も高い高原にある凍土地帯で、石炭のほか、二畳紀や第三紀、第四紀に生じた地層(ペルム・第三・第四系)の堆積が深く、河や湖、海の堆積中に含まれる有機物質の量も多い。第四紀に高原が猛烈な勢いで上昇したことから、氷河は幅広い面積にかけて氷縁作用を受けたため、氷河を覆う圧力が下部に潜む堆積物にある天然ガスと水の化合物の安定性を増強させることになった。とくにチャンタン盆地と甜水海(テンシュイハイ)盆地では、可燃氷が安定的に存在する条件を完全に備えている可能性がある」と指摘する。
「可燃氷」は「天然ガスと水の化合物」とも呼ばれ、固体の天然ガスのことで、地球上に幅広く存在しており、その埋蔵量は通常形体の埋蔵量の2.6倍と推定される。すべてが開発された場合、約100年の使用が可能。可燃氷はクリーンエネルギーであるため、燃焼してもほとんど有害な汚染物質を発生させることはない。中国の凍土面積は世界3位で全体の10%を占めており、うち青海・チベット高原で世界の7%を占める。中国科学院蘭州氷川(氷河)凍土研究所は1960年代と70年代に、祁連山の海抜4000メートルに位置する凍土地帯と、青海・チベット高原の海抜4700メートルにある五道梁(ウダオリャン)凍土地帯でボーリングを行い、天然ガスと水の化合物と思われる兆候を数多く確認した。また中国地質大学(武漢)と南中国海石油局第5探査チームも、チベット北部高原のチャンタン盆地で大規模な調査を共同で実施。その結果、タリム盆地に次いで、チベット地区が21世紀に第2の石油資源戦略代替基地になる可能性が出てきた。
呉研究員は「現在、可燃氷を探索する計画を実施しているところで、実験室での大量の前期作業がスタートした。その後は、3段階に分けて研究を進めていく。チャンタン盆地で天然ガスと水の化合物を探し出し、確実に存在していることが判明すれば、その分布規律や基本的な性質を研究し、埋蔵量を推定して開発の将来性について検討し、開発技術や環境保護問題も研究する」と説明している。
「チャイナネット」 2004/09/08
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