都市の水不足量はすでに60億立方メートル。とくに人口の40%以上、国内総生産高(GDP)の60%を占める沿岸部と沿海島嶼で、全国の不足量の3分の1以上を占めており、水資源のひっ迫はこれらの地区の経済、社会の発展のネックとなっている。
◆産業化の条件は確立
国家海洋局杭州水処理技術開発センターのエンジニア・朱淑飛氏は「淡水の不足問題を解決する方法は多様だ。地表水が豊かな地区では、水を蓄えるようにし、乏しい地区では、流域を越えて水を調整する。また廃水の利用や汚染水の処理、節水などもある。ただ、こうした方法では淡水資源を根本的に増やすことはできず、依然として問題は非常に深刻だったが、こうした時に、海水の淡水化技術がクローズアップされてきた。この技術は気候の影響を受けず、給水量が安定し、水質も良好だ」と説明する。
同センターの譚永文副主任は「海水の淡水化では、わが国は技術面で研究成果を上げるなど世界でも数少ない先進国であり、産業化の条件はほぼ整っている」と強調。
◆水質は純水に匹敵
中国系米国人で水処理専門家の諸恵昌氏は、海水淡水化の優位性について「わが国は海洋大国であり、海岸線は3万2647キロにもおよぶ。なかでも浙江省などの沿海部は、極めて豊富な海水資源を抱えている。こうした地区で淡水化された海水が大規模に利用されれば、経済や環境、資源がもたらす価値は計り知れない」と指摘する。
淡水化された海水の水質は、すでに純水基準を達成。沿海部で産業化することは可能であり、水不足から地下水を過度に汲み上げることによる地盤沈下など地質学的な災害も防止できる。また総合的な開発・利用により、エネルギーの利用率を高めるとともに、海水からカリウムや臭素、マグネシウムといった化学物質を抽出することも可能だ。
専門家は「科学技術面で難関を突破するとともに、淡水化のコストをさらに低減させなければならない。その一方で、政策や資金面などで支援、指導していく必要がある。海水の淡水化、冷却、製塩、化学資源の利用に合わせて総合的な開発を進め、淡水化の規模化を図り、海水資源の開発・利用を一層発展させるよう奨励することが肝要だ」と強調する。
「チャイナネット」2004/09/09
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