宋代・汝官窯の逸品、大陸で初めてオークションに


 宋代の「5大名窯」の中でもその秀逸さで追随を許さない汝官窯の逸品が12日、河南省の省都鄭州で開かれた第2回文物芸術品オークションに出品された。汝官窯の作品が大陸のオークションにかけられたのは今回が初めて。

 出品されたのは2点。1点は、北宋宝豊年間に清凉寺にあった汝官窯典型の基本的特徴と芸術的風格を備えた文房用具「鴛鴦水中亟」。幅は4.2センチメートル、高さ6.2センチーメートル。この作品は1050万元(1元=約13円)の高額で落札され、民間収蔵家の手にわたった。いま1点は「荷葉帯把杯」。文物専門家から「汝官窯の成功」と称される逸品で、口径は9.5センチメートル、脚径、高さともに5センチメートル。

 汝官窯の作品は過去、1992年秋に直径わずか8センチメートルの皿がニューヨークで、「三犠尊」が香港でオークションに出品されているだけ。業界関係者は「汝官窯の逸品が大陸で初めてオークションに出品されたことは、民間の収蔵に関する法律や法規が完備されていることの現れであり、民間の手にある貴重な作品が合法的に流通できるようになる。また高額での落札は、市民の生活水準や文化への追求度が向上したことを映したものだ」と話している。

 汝官窯は汝窯とも呼ばれ、官窯や鈞窯、哥窯、定窯と並んで宋代の5大名窯に数えられていたが、官の窯としての地位を独占し、もっぱら宮廷のご用達品を焼成していた。その期間は短く、20年にすぎない。ご用達品であるため、民間に広めることは許されず、メノウを上薬として使用しているため、特定の光を受けると燦然と輝きを増し、また陽と剛の気が強すぎると考えられ、帝王や公卿が敢えて副葬品として用いなかったことから、その貴重さが一層増すことになった。現在、汝官窯の作品を所蔵する博物館は世界でもわずか数館、点数も70点以下。「巨万の富も汝窯の磁器1点に如かず」と言われるゆえんだ。

         「チャイナネット」2004年9月14日