上海市の西部地区技術援助、
経済のバランスの取れた発展に貢献


 東部の技術を西部地区の資源と結びつけ、東部と西部の経済のバランスの取れた発展を実現することは、上海市科学技術委員会の目標である。現在、上海市はさまざまな西部技術援助プロジェクトに取り組んでおり、西部地区の経済発展加速の一助となっている。

 上海市科学技術委員会関係者によると、情報技術、農作物栽培技術、頬紅魚と林蛙(樹林に生息するカエルの一種)の養殖技術、真空包装技術、木材加工技術、林業産品検査技術、腫瘍治療技術、電力輸送及び変電技術の提供を含む、数多くの技術援助プロジェクトを、雲南省、重慶市、チベット自治区、寧夏回族自治区などの関係部門と提携して実施し、上海の技術の応用を推し進めている。上海市が、今年、西部地域と共同で打ち出した科学技術プロジェクトはすでに133に達し、投資総額は3.3億元にのぼる、新疆ウイグル自治区、甘粛省、陜西省、四川省、内蒙古自治区など12の省、直轄市、自治区をカバーしている。

 東部、西部の経済格差を縮小させるため、上海市は、この5年間に、500を超える西部援助科学技術プロジェクトを打ち出した。社会各界が合計380億元余りを投入し、今現在50%のプロジェクトがすでに完成し、約200のプロジェクトが西部地区の産業の生産に応用されており、東部と西部のバランスの取れた経済発展の促進に役立っている。

 ∇西部地区においては、一部の農民の収入が増え、貧困から脱却しつつある。

 寧夏回族自治区などの地域は、ブドウ酒の醸造にもっとも適しているブドウの産地と見なされてきたが、先進的なブドウの栽培技術やブドウ加工の技術がなく、農民たちは手をこまぬいているしかなかった。そこで、上海のある会社は1900万元を投じ、寧夏回族自治区で荒れ地を開墾し、167ヘクタールのブドウ園を作るとともに、3000トンのブドウ酒醸造工場を創設し、2002年から利益が出るようになった。これまで、前後して、地元の農民600人を雇用し、これらの農民たちにとっては一人当たり年間5000元の収入増となった。過去の砂漠地帯もみどり豊かなブドウ園となっている。そして、チベット自治区では、40以上のプロジェクトで上海の科学技術が活用されており、80%以上のプロジェクトは農業、牧畜業の増収増益に役立っている。レーダー技術の応用で、ひょうの人工的予防事業だけでも、毎年、農民の直接の損失650万元を軽減させるようになっている。

 ∇西部地区の資源の価値は急速に目に見えるものとなっている。

 木材加工、農産物・牧畜産品加工、炭鉱資源加工などで、上海の技術を活用し、全国の市場における競争力が高められている。陜西省神府炭田には10万トン以上のカオリンが蓄積されていたが、これまでは、放置されたままで、環境に深刻な汚染をもたらしていた。復旦大学化学学部は自前の技術を利用し、カオリンを原料としたA型沸石分子ふるいわけ吸着剤の開発に成功した。この製品は、石油加工、洗たく石鹸製造、ファインケミカル製品の開発、医薬品・食品加工にも幅広く応用することができる。過去においては廃棄物同然のカオリンも、いまでは、宝物へと変身を遂げた。汚染問題を解決するとともに、地元の農民たちに多大な富がもたらされている。

 ∇生態系環境を改善し、西部地区の持続可能な発展に技術の備蓄を提供することとなっている。

 東華大学が発明した草栽培技術を利用し、人工で1カ月をかけて草を栽培したあと、草は「緑の絨毯」となり、砂漠地帯にしっかりと根付くことができるようになった。この技術を使って、すでにフルンベイル草原において、4ヘクタールの砂漠化土壌での試験栽培に成功しており、将来は、38%の土地が砂漠化した草原において緑地を増やし、西部地区全体がみどり豊かな土地になることもはっきりと見えてきた。華東師範大学で開発されたワンステップ分類グレート決定バイオ技術で、油を絞った後の沙棘(野生植物の一種)の実の廃棄物から薬用価値の大きな沙棘アントキサンチンを採取することができた。内蒙古自治区(内モンゴル)で、この技術が応用され、沙棘アントキサンチンの生産ラインが設置された。このプロジェクトのおかげで、内蒙古の沙棘栽培面積は12万ヘクタールに拡大し、約20万の農家が毎年9000元の収入増になった。0.07ヘクタールの沙棘で44トンの流砂を固めることができ、75%の地表水の流失を防ぐことができる。沙棘栽培は内蒙古の生態系環境の改善に計り知れない影響を及ぼすこととなろう。

         「チャイナネット」2004年9月14日