新ユーラシア横断鉄道――「新シルクロード」に高まる期待


 この数年来、ヨーロッパとアジアの懐を貫く新ユーラシア横断鉄道の建設と開通がますます多くの国や機関の関心を集めている。

 1991年9月12日、太平洋の西岸、中国の連雲港を起点に蘭州までの隴海鉄道、蘭新(蘭州・ウルムチ)鉄道がさらに西へと延び、西部辺境のアラ山口とカザフスタン共和国のドルリバ駅と接続されたことで、アジアとヨーロッパの商業・貿易往来のための「新たなシルクロード」が誕生した。アジア、ヨーロッパ諸国から大西洋へと通ずる陸上の通路、これが有名な新ユーラシア横断鉄道。

 新ユーラシア横断鉄道は連雲港など東部沿海地帯の港湾を東の起点に、西は大西洋東岸のオランダのロッテルダム、ベルギーのアントワープなどの港湾に至る。アジアとヨーロッパ大陸の中部を横断し、総延長は1万900キロ。中国は東アジア、中央アジア、西アジア、中東、ロシア、東欧、中欧、南欧、西欧など40数カ国・地域と結ばれることになる。この広大の地域の総面積は3970平方キロと、世界の26%を占め、人口は同36%。

 横断鉄道の東西の両端は太平洋、大西洋という2大経済中心地であり、ほぼ先進国に属するが、開発できる空間は狭く、資源は欠乏している。一方、広大で細長い中間地帯であるユーラシア大陸腹部では少数の国を除き、ほぼ未発達地区に属し、とくに中国中西部、中央アジア、西アジア、南アジア、中東地域は広大だが交通は不便で、自然環境も劣悪。だが資源は豊かであり、開発に将来性があり潜在力も大きい。

 この地域は世界で最も重要な農牧畜業の生産基地でもあり、穀物と綿花、油、馬、羊の生産量で世界でも重要な位置を占める。埋蔵される鉱物資源は金や銀、銅、鉄、ウラン、鉛、亜鉛、白金、ニッケル、メタン、アンチモン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、バナジウム、アルミニウム、タングステン、マンガン、モリブデン、リン、ホウ素など数百種。エネルギー資源もとくに豊富だ。石炭埋蔵量は2兆トン超、石油は約1500億トン、天然ガスは7500億立方フィートで、世界の「エネルギーの里」と呼ばれている。このため、新ユーラシア横断鉄道が通る地域では、経済面で相互依存性と相互補完性が強く、互恵協力の将来性は非常に大きい。

 新ユーラシア横断鉄道の国内での総延長は、4131キロ。東・中・西部に位置する江蘇、山東、安徽、河南、山西、陝西、甘粛、寧夏、青海、新疆など10の省・自治区を貫き、その経済的影響は湖北省や四川省、内蒙古自治区などにも及ぶとされる。1998年の統計によると、これらの地域の人口は4億3500万人で、全国の34.93%。面積は360万平方キロで、同37%。社会・経済の発展にとって非常に重要な地位を占めている。

 調査によると、横断鉄道沿線地帯は鉱物資源がかなり豊富であり、開発価値のある資源は約100種、埋蔵量でトップクラスの資源は64種。石炭やアルミニウム、銅、ニッケルなどは全国の50%以上、銅や白金、鉛、亜鉛などの非鉄金属、石油、電力なども全国で重要な地位を占めている。とくに石炭の埋蔵量は2000億トン、石油は数百億トンと、国内のみならず、世界でも屈指の資源の豊富な地帯だ。新疆ウイグル自治区のタリム盆地だけでも、石油・天然ガスの生産は300億トンが可能であり、世界5大油田の総量に相当する。この地帯はまた穀物や綿花、植物油の原料、牧畜でも全国で重要な基地となっている。

 中西部地区の社会・経済を発展させ、中央アジアとヨーロッパ諸国との経済協力と交流を促進するとともに、新ユーラシア大陸横断鉄道沿線地域の経済を繁栄させるため、国務院の関連機関や沿線都市の市長、関係する国々の政府高官、国際組織の代表はこれまで、交通システムや税関、情報共有などの問題について協議するシンポジウムを数多く開催。8月には新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで、「新ユーラシア大陸横断鉄道の開通と協力」をテーマにシンポジウムが開かれた。横断鉄道が地域の発展に与える影響について、商務部交流センターの王偉副処長は「平和と発展が今、世界にとって大きなテーマとなっている。新ユーラシア大陸横断鉄道の検討と建設の過程で、各関連機関が地区、国を越えて一堂に会するのは、共通の理想である『新シルクロード』の繁栄に向けて努力するためである。これ自体が、非常に素晴らしい模範となるものだ」と強調した。

 各地区、各国は鉄道建設に伴う交通輸送面での協力以外でも、商業・貿易・投資面での利便性をめざした具体的な措置の制定を急ピッチで進めている。投資環境が改善されつつある中央アジアや中国西部などが今後、世界経済の発展に向け新たな投資スポットになるのは間違いない。

 中国とロシア、中央アジアのカザフスタン、キルギスタン、タジギスタン、ウズベキスタンで構成する上海協力機構は、新ユーラシア大陸横断鉄道沿線諸国の協力で積極的な役割を果たしてきた。新鉄道の建設は現有の横断鉄道であるシベリア鉄道を圧迫する、との考えもあるが、実際、アジアとヨーロッパは世界で繁栄した2つのブロックであり、1本の鉄道で連結させるだけでは不十分だ。新ユーラシア大陸横断鉄道沿線が繁栄すれば必ずアジア、ヨーロッパに発展がもたらされる。新旧の横断鉄道自身も緊密に結ばれることは言うまでもない。

            「チャイナネット」  2004年9月15日