中国企業500強 「世界500社」との格差(1)


 中国企業連合会と中国企業家協会は2002年以降、国内企業の番付「中国企業500強」を毎年発表している。ここでは、「中国企業500強」にランクインした企業の発展?変化を追うとともに、米フォーチュン誌の「世界企業500社」にランクインした企業との優位性、問題、格差などの相違を分析し、「中国企業500強」入りした企業が目指すべき方向性を提示する。

 <フォーチュン誌「世界企業500社」との格差>

 「中国企業500強(2004年発表)」入りした企業の資産総額の合計は、フォーチュン誌の「世界企業500社」の5.61%にとどまっている。同様に、売上高は7.3%、利益は5.22%、1人あたり売上高は16.23%、1人あたり利益は11.62%、1人あたり資産は12.46%。

 しかし、両者の隔たりは単なる量的な差ではなく、より重要なのは、企業の資質、経営能力、競争力の差といった問題だ。

 ▽粗放的な経営スタイル、非合理的な構造

 中国は、同じGDPを生み出すために消費するエネルギー量が、日本の10倍、米国の5倍、カナダの3倍に達する。GDPに対する金属資源の消費量は世界平均の2〜4倍、汚水排出量は先進国の4倍。工業生産額に対する固形廃棄物の量は先進国の10倍を超える。

 粗放的な経営と低効率は、中国経済の産業構造における突出した問題も反映している。過去3年間に「中国企業500強」にランクインした企業のうち、第3次産業はわずか20%前後に過ぎず、米国の60%を大きく下回っている。

 ▽貧弱な技術開発能力

 技術開発能力における中国と先進国の格差は、主に次の面に現れている。

 (1)自主開発能力の欠如、国外技術への過度な依存体質:電気通信設備、自動車などの産業は、「立ち遅れる→技術導入→再び立ち遅れる→再び技術導入」と「低能力→依存→さらに依存→さらなる能力低下」という二重の悪循環に陥っている。

 (2)低い研究開発投資:2003年の重点企業の研究開発費は売上高のわずか1%で、先進国の3-5%という水準には遠く及ばない。

 (3)知的財産権に対する意識の低さ:特許など知的財産の申請や保護が十分と言えない。

 ▽低い国際化水準

 企業の国際化の度合いは(1)総売上高に占める海外市場の比率(2)海外市場における販売エリアの広さ(3)海外人材の雇用率――の3つの指標で示される。このうち(1)については、世界の上位100社では、海外売上の割合が50%を超える企業が半数以上を占める。(3)については、「世界企業500社」では役員の40%以上が外国人で、経営陣の多くも国際的な顔ぶれだ。多国籍企業の経営陣のうち、海外勤務経験者の割合は米国で32%、日本で19%、欧州で47%に達する。こうした3つの指標の基準をすべて満たす大企業は、中国にはほとんどない。

 ▽独占業種の企業が今も主導的地位

 「世界企業500社」の上位を占めるのがいずれも競争業種の企業であるのに対し、「中国企業500強」は、上位10社がいずれも独占業種の企業で占められている。これは国内の大企業の発展が、現在も「政府頼み」の体質を引きずっていることを意味し、市場競争の中で地位を確立した世界企業に比べ、全体的な資質の面で大きな格差がある。

 こうした格差は、あくまで表面的なものであり、より深層には企業の体制?システムの問題がある。2004年に「中国企業500強」入りした企業のうち、国有および国有持ち株企業が72%を占め、中央政府直轄の大企業189社からだけで、50社余りがランクインしている。これら大型の国有企業では、現代的な企業制度がまだ確立されておらず、一部の大企業では制度改革に関する法的な位置付けも不明確だ。また、一部国有企業は、経営構造は、国内外の市場競争における新情勢に適応できていない。行政への従属関係など体制?政策による制約も、企業の買収?再編を難しくしており、企業の再編と資産構造の調整にも、さまざまな障害がある。

               「人民網日本語版」2004年10月19日