中国企業連合会と中国企業家協会は2002年以降、国内企業の番付「中国企業500強」を毎年発表している。ここでは、「中国企業500強」にランクインした企業の発展・変化を追うとともに、米フォーチュン誌の「世界企業500社」にランクインした企業との優位性、問題、格差などの相違を分析し、「中国企業500強」入りした企業が目指すべき方向性を提示する。
<中国企業500強の目指すべき方向性>
▽科学的発展観による発展指導
中国企業が強大になるためには、人的要素を重視し、知識および人材を真に尊重することで、豊富な人的資源という中国の強みを十分に利用し、発揮し、国際市場での競争における優位性を強化する必要がある。
中国では今後、環境汚染による損失も国民経済指標の算出に反映させていく。一部地区での試行事業も行われる予定だ。大企業はこれを機に、率先してグリーンGDP(環境調整済国内純生産)の概念を経営理念および経営活動に取り入れ、自社の体制・文化のさまざまな面に浸透させる必要がある。
中国企業は「資源→製品→廃棄物」という「高消費・低利用・高汚染」の線形経済モデルを徹底的に破棄し、「資源→製品廃棄物→リサイクル資源」という「低消費・低汚染・高利用」の循環型経済モデルに転換しなければならない。リサイクル産業の発展に力を入れ、新しいタイプの工業化路線を堅持し、経済成長方式の転換を速める必要がある。
▽コア・コンピタンスに基づく企業戦略
中国企業はコア・コンピタンス(核心的競争力)の育成を発展戦略の最優先事項とし、企業のリソース・規模・能力間の矛盾を絶えず解決していく必要がある。ある程度のコア・コンピタンスを基礎に、さまざまな形で企業規模の拡大を図る必要がある。
(1)マネジメントの合理化と現代化、人材管理の強化、「学習する組織」の確立、知識管理の強化、リソースの未活用能力に対する理解の強化、さまざまなリソース構成の方式・方法の開拓
(2)コア・コンピタンスを中心に据えたリソース配分を行い、最良・最大のリソースをコア・コンピタンスの向上に用いる。
(3)M&A(買収・合併)の実施
世界経済における産業構造の調整・再編・移転や、国内産業構造の調整・革新というチャンスを活用する必要がある。全国、さらには全世界規模での、資本・技術・労働力・原料など各種リソース配置の最適化を重視し、検討しなければならない。
(4)経営のバーチャル化
組織の物理的な限界を破り、最も重要機能を企業内部に残した上で、他の機能をバーチャル化する。バーチャル化には、主にアウトソーシングと戦略的提携の2つの形式がある。
▽体制・技術・管理における革新の推進
現代的な財産権制度の構築に合わせ、現代的な企業制度を整備し、企業制度の革新を加速する必要がある。現代的な財産権制度の整備を加速し、出資形態が多様化した経済体の発展に力を入れ、株式制を公有制の主な形にしていく必要がある。これを基礎に、国有資産の監督管理体制の改革を並行し、現代的な企業制度の確立を引き続き加速し、柔軟な所有権・経営権構造を段階的に形成し、コーポレートガバナンス(企業統治)を整備し、効果的な賞罰制度を確立する。
技術革新の推進と、コア・コンピタンスの強化として、次の4点に力を入れる。
(1)技術的優位性を活用し、自社特有の製品・サービスを開発する。
(2)研究開発投資を増やし、レベルの高いの技術センターを建設して、自主技術の開発能力を高める。
(3)技術提携・開発協力により、技術的優位性を獲得する。
(4)社会の研究リソースを積極的に活用する。
マネジメント改革に力を入れ、現代化を進める。競争リソースの、従来の「人・カネ・モノ」から「情報・無形資産」への変化に適応するため、情報化管理・人材管理・知識管理・ブランド管理を強化する必要がある。国内市場から世界市場への転換に適応するため、グローバル化管理・リスク管理・多文化間管理も強化しなければならない。
▽国際的ブランドの育成
中国国内の企業は、ブランドの育成においてすでに大きな成果を上げている。国内27業種に対し行われた2003年の調査では、11業種で海外ブランドが首位を占めたが、それを凌ぐ16業種で中国ブランドの競争力が上回った。特に家電製品では、中国ブランドが海外ブランドを完全に抑えた。つまり中国ブランドは、現地市場で海外ブランドに打ち勝つだけの力をある程度蓄えており、国際的競争力を高め続けている。
▽国際市場への進出を強化
多国籍経営は国際的な大企業がその形成と発展において必ず通る道であり、「国際市場への進出」は中国の大企業が強大化するうえでの必然的な要請だ。
国際市場に進出する場合、単純な規模の拡大であってはならない。多国籍企業は産業調整の機会を利用して、強みを活かし、短所を補う必要がある。コア技術の買収や関連産業の開拓、海外企業との戦略的パートナーシップの構築を重視しなければならない。政府機関は企業経営の国際化に向けて良好な環境を整え、現行の海外投資管理体制におけるさまざまな政策的障壁の撤廃に力を入れる必要がある。金融・保険・水上輸送・法律などの関連部門が歩調を揃え、海外業務を共に開拓しなければならない。
▽社会的責任を積極的に負担
現在の国際的な市場競争の中で、企業の経営理念には大きな変化が起きている。ビジネスモラルと社会責任が競争力向上における重要な要素となり、企業の発展には、経済指標だけでなく、人文・社会的指標をさらに重視しなければならなくなった。これは企業の文化と進歩の重要な目安だ。企業は、誠実で信頼ある経営を行い、従業員の権利を重視・保護し、公益事業とコミュニティーの発展に力を入れてこそ、高い社会的信用を獲得し、幅広い消費者の信頼を勝ち取り、企業の長期的な強大化に対する力強い支えを得ることができる。(文:陳錦華・中国企業連合会会長)
「人民網日本語版」 2004年10月20日
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