中国、個人財産保護の強化のため、
初の「物権法」制定に着手


 中国の経済発展に適応する社会保障制度の健全化をはかり、個人財産への保護を強化するため、中国の立法機関である全人代の常務委員会は「物権法」の制定を今年の立法活動の重点としており、この22日、その法律草案が第10期全人代常務委員会の審議に付されました。

 中国人にとって、物権という言葉はあまり知られてはおらず、この概念は大陸法系から出たものです。開催中の第10期全人代常務委員会の第12回会議では法律制度活動委員会の胡康生主任が、「物権法」の"物権"について説明しています。

 「物権というのは、自然人及び法人が不動産や動産を直接に支配する権利で、物権は1つの重要な財産権であり、国家所有権、集団所有権、個人所有権、土地請負経営権、建設用地使用権などはすべて物権の範囲に入る」と述べました。

 「物権法」とは民法の重要な一部分であり、その役割は財産の所有・利用の問題を解決することで、今年の3月、全人代常務委員会は新しく改正された憲法に重要な内容、つまり、個人財産を保護する条項を加え、これは「物権法」の制定にとっていいチャンスとなったのです。

 その役割と意義について、胡康生主任は、「『物権法』は平等となる主体間の財産関係を規範化するもので、これは財産と権利の関係明確化、権利者の財産権益保護、経済と社会の秩序維持と社会主義現代化の建設に重要な役割を果たすだろう」と語りました。

 今回審議に付された「物権法」草案は、5つの分野297条からなり、これは国、集団及び個人がどのような財産に所有権を持つかをはっきりさせ、個人財産を保護する法律をも完備させました。この草案は、また農民の土地徴収問題と都市部住民の住宅の立ち退きなどの社会のホット問題についても規定を設けています。

 この草案は国、集団及び個人は企業の権益をそれぞれ平等にもち、これら権益はすべて保護されています。この規定は所有制の異なる企業にとってすべて適応するのです。

 現在、中国では、分譲住宅市場が急ピッチで成長して、より多くの中国人が自己の不動産を持つようになったものの、いくつかの権益所有について不明瞭な点があるため、不動産の持ち主と建築会社との争議も日増しに激しくなり、建築物内の廊下、エレベーターなどの公共施設の所有問題、建築物及びその施設の維持では住宅の持ち主は管理権を有すかどうかの問題をはっきりさせる必要があり、この草案はこれら問題について、詳しい規定を設けているのです。

 また、中国の農村では、村の責任者が法律を無視し、土地など集団の財産を勝手に処分し、農民の合法的な権益をひどく損なう事件がしばしば発生しました。この問題について、この草案は、集団の財産を農民がいかに使用するかを分かりやすい規定として定めました。

 この「物権法」草案は全人代常務委員会の審議と表決を経てまもなく公布されますが。この「物権法」の公布は、中国人の財産に対する観念と社会生活に必ず大きな影響をもたらすことでしょう。

                            「CRI」より 2004/10/25