中国、「突発事件と緊急事態処置法」を制定へ

                 


 中国国務院の関係部門はこのほど、「突発事件と緊急事態処置法」に関する国際シンポジウムを開き、その制定について内外専門家の意見を聴取しました。関係筋によりますと、この法律の草案はすでに完成しており、来年、中国の最高立法機関である全国人民代表大会に提出され、審議を受けることになります。
 去年、SARS・新型肺炎が中国で爆発的に発生し、大きな被害をもたらしました。このことから、このような突発的な事件について政府はどのように対処するかが非常に注目されるようになり、突発事件と緊急事態の効果的な対応を促す特別法の制定が必要となりました。この法の草案を起草する専門家の1人である、中国の著名な法学者、北京大学の姜明安教授は「処置法」制定の目的について、「突発事件が発生する場合、まず政府に十分な処置権があることを保障しなければならない。その次に、政府権力の濫用を防止しなければならない。また国民に対しては、しかるべき義務を履行させるとともに、その権利が侵されないことを保障しなければならない」と指摘しています。

 中国では、現在、非常時に対応する法律には「戒厳法」しかありません。それは国家の統一や安全、社会の公共安全などを脅かす動乱や著しい騒乱が発生する場合のみ厳重に取締る法律です。今年開催された第十期全国人民代表大会の第2回会議で、この法律の修正案が可決され、それに従って、関連法、つまり、「突発事件と緊急事態処置法」が制定されることになりました。

 先述の姜明安教授によりますと、「戒厳法」と比べて、「処置法」の重点は、自然災害や、公共衛生、社会の安全などの突発事件への予防、対応、緊急処置、そして緊急事態の確定と実施に置かれているとのことです。これについて、姜明安教授は、「突発事件にうまく対応するためには、公民の一部権利が制限を受ける可能性がある。一部権利が中止され、或いは自由が制限されるほか、公民の義務もいくらか増えるかもしれない。しかし、これらすべては全部法に基づいて行わなければならない」としています。

 姜明安教授は、公民の基本的な権利、例えば、生存権、平等権、宗教信仰の自由などの権利は緊急事態にもかかわらず保障されるものであると強調しました。当事者の利益損害を最小限に抑えるため、「処置法」草案には多くの措置が組み込まれています。これに触れた際、姜教授は、「行政機関が緊急事態で突発事件を処置するため講じる措置は、事件が社会にもたらす被害の性質や、程度、範囲などと適合させなければならない。執行可能な措置が複数である場合、当事者の利益損害が最も小さいものを採用しなければならない」と強調しました。

                              「CRI」より  2004/10/29