マクロ調整をめぐる疑問への回答(抜粋6)

         

 中国政府は年初以来、経済活動をめぐる突出した矛盾を解決するため、マクロ調整強化の一連の政策を打ち出している。これに対して、実行の当初から、国内や海外、経済学界や実務部門など、さまざまな方面で議論が展開されている。国家発展改革委員会の馬凱主任はこのほど、各分野から寄せられた8つの疑問に対する見方を発表した。

 (6)今回のマクロ調整は中国中・西部の経済発展を抑制したか

 マクロ調整政策の方向性をみると、中央政府が取った措置は個別の地域や省を対象にしたものではなく、全体の状況に立脚して、経済活動における突出した矛盾点・問題点の解決を目指したものだ。国の経済は一つの有機的な総合体であり、全体的な局面に問題が生じれば、局部への波及は避けられない。各地の経済運営の実状をみると、経済運営における突出した矛盾点・問題点は、程度の差はあるが全国に共通する。昨年下半期以来の穀物の減産、投資需要の膨張、一部業界の無計画な拡大といった問題は、東部地域だけでなく、中西部地域にも存在する。中・西部の多くの地域では、開発区ブームや土地囲い込みブームが起こり、セメントや鉄鋼関連の小規模事業など、エネルギー消耗が大きく、環境への負担が大きい事業への違法な参入、石炭や電力、石油、運輸の供給不足が相次いだ。こうした問題を効果的に解決しなければ、国全体の経済発展に影響するだけでなく、各地の経済の健全な発展にもマイナスになる。

 今回のマクロ調整の実際の効果をみると、中・西部地域の経済発展へのマイナス影響は見られず、地域経済の急速かつ良好な発展の促進にプラスに働いている。今年第1〜3四半期、西部地域の各省・自治区・直轄市は引き続き速い成長率を維持し、東部を上回るケースもあった。「個別のケースに合わせた対応、支援と規制、弱点克服の強化」という今回の調整の中心思想に合わせ、中央政府は農業・エネルギー・交通・水利や教育・衛生など公的事業への支援を強化し、実施の重点を中・西部地域に置いた。今年、国は西部開発の十大事業を承認しており、これら事業への投資総額は800億元を超える。特に指摘すべき点として、マクロ調整の実施は中・西部に得がたい発展のチャンスをもたらしている。マクロ調整政策の誘導の結果、さらなる発展の余地や、土地・エネルギー・水など資源面の制約からの回避を求める東部地域の企業が、資金や事業を中・西部地域に移す現象が起きている。今年1〜9月、固定資産投資における東部地域の比重が低下した一方、中部地域の占める比重は0.3ポイント上昇、西部地域は0.7ポイント上昇し、新しい局面が生まれている。

「人民網日本語版」 2004年11月19日