中国政府は年初以来、経済活動をめぐる突出した矛盾を解決するため、マクロ調整強化の一連の政策を打ち出している。これに対して、実行の当初から、国内や海外、経済学界や実務部門など、さまざまな方面で議論が展開されている。国家発展改革委員会の馬凱主任はこのほど、各分野から寄せられた8つの疑問に対する見方を発表した。
(5)今回のマクロ調整は一律処理だったか
今回のマクロ調整の中心思想からみれば、中央政府は「個別のケースに合わせた対応、支援と規制」の必要性をスタート時から強調し、その後も繰り返し強調してきた。また全体的規模の抑制と同時に、投資構造の調整と改善に力を注ぎ、状況に応じて、ケースごとに指導を進め、緩和と制限を適切に使い分け、急激な引き締めや機械的な一律処理を行わないよう求めた。実際の作業でも、あらゆる手段を用いてこの方針を堅持した。
産業分野の面では、果断な措置を取りながら、一部業界の行き過ぎた投資や無計画な発展を厳しく抑えた。同時に、社会経済発展における弱点克服を支援している。例えば、国は農業用地から非農業用地への転用審査・承認の半年間停止を決定したが、実施プロセスにおいては個別のケースごとに対応している。つまり、禁止対象の事業分野への土地提供を停止し、制限対象の分野での土地使用に厳しい制限をつける一方で、国が指定した重点建設事業には土地使用の制限を設けていない。エネルギーや交通、水利、都市の重要公共施設、衛生・教育などの事業については、建設用地の審査・承認を継続した。
業界の面では、鉄鋼やセメントなど過剰投資のあった業界に対しても、一律処理はしていない。規制されたのは、生産能力が過剰で付加価値が低く、エネルギー消耗が大きく、環境への負担が大きい製品であり、淘汰されたのは遅れた工業設備だ。一方、市場で供給が需要に追いつかず、技術価値が高く、環境対策が十分で、産業構造の改善に役立つ製品に対しては、規制を加えず、支援に力を入れた。マクロ調整の期間中にも、上海宝鋼や湖北武鋼などによる優れた鉄鋼事業は国に承認されている。新技術による乾式セメントの割合は昨年、16%から25%に増加し、今年は35%まで上昇する見込みだ。先端技術を持ち、製品の市場展望が見込める多数の民間企業も、一連の新事業を立ち上げた。
もちろん、実際のマクロ調整では、「個別のケースに合わせた対応、支援と規制」という政策の実施において、一連の問題点が確かに存在した。中央政府は問題点が見つかった後、適時に対応措置を取っている。まず、中・長期融資の急増を引き続き抑えながら短期融資を増やし、市場シェアの見込める、経済効果の高い、雇用拡大に役立つ企業に対しては、必要な運転資金を適時に提供するようさらに強調した。また、無計画な投資や低付加価値事業の拡大が見られる業界への融資を規制する一方、農業・エネルギー・交通・ハイテク産業・教育・医療衛生などの業界への融資を強化するよう求めた。国の産業政策や市場参入条件に合致し、構造調整にプラスとなる事業に対しては、積極的な支援を求めている。9月には、運転資金のための融資増加量が初めてプラスに転じ、前年同期との比較でも、数カ月間続いた減少から304億6千万元の増加に転じた。
「人民網日本語版」 2004年11月19日
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