マクロ調整をめぐる疑問への回答(抜粋2)

         

  中国政府は年初以来、経済活動をめぐる突出した矛盾を解決するため、マクロ調整強化の一連の政策を打ち出している。これに対して、実行の当初から、国内や海外、経済学界や実務部門など、さまざまな方面で議論が展開されている。国家発展改革委員会の馬凱主任はこのほど、各分野から寄せられた8つの疑問に対する見方を発表した。

 (2)今回のマクロ調整は、時期が適切だったか

 経済運営における不安定かつ不健全な要因が現れ始めた昨年第1四半期から、中央政府は状況がそのまま進行した場合の重大性を的確にとらえてきた。昨年第1四半期の情勢分析を基礎に、中央政府は「新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)への対処と、経済発展とを並行する」の方針を明確に打ち出した。経済分野では、次の点を指摘している。

 〈1〉一部業界の無計画な投資や価値の低い事業の拡大が深刻化している。

 〈2〉過剰投資の大部分は、銀行融資に依存しており、マネーサプライや貸出残高の急増を招いている。

 〈3〉こうした問題は、全体から見れば局部的で萌芽的な問題であり、的を絞って適切な措置を取る必要がある。

 これにより、中央政府は投資構造の改善や、無計画な重複事業の停止など、一連の政策を打ち出した。この段階では、中央政府の要請に合わせ、関連部門が一連のミクロ調整措置を取っている。

 新型肺炎SARSが一段落した後、経済運営における矛盾点や問題点がさらに顕在化し、中央政府はこれを強く重視し始めた。中央政府が開催した「全国SARS予防対策作業会議」、「中国共産党第16期中央委員会第3回全体会議(三中全会)」などの重要会議では、中央指導部が「科学的発展観」の確立と徹底の必要性を繰り返し強調するとともに、多くの実例を挙げながら、萌芽的・局部的な問題に対して果断な措置を取り、解決に努力し、問題の全局への波及を防ぐ必要性を説明した。中央政府の計画に従い、銀行の預金準備金率が調整され、開発区の整備・調整や土地市場の秩序が整備され、鉄鋼・コンクリート・電解アルミなどの業界における無計画な投資を抑制する調整措置が取られた。

 今年の全国人民代表大会(全人代)では、「政府活動報告」の中で、マクロ調整の強化・改善、および経済の安定的かつ急速な発展の維持が、通年の経済運営における第一の課題に挙げられ、マクロ調整の実施計画が作成された。全人代と人民政治協商会議全国委員会(全国政協)の開催以後、局部的な問題の拡大を防ぐため、マクロ調整がさらに強化されている。マクロ調整にあたっては「果断さや実効性、適切なタイミングと程度、個別のケースに合わせた対応、実際の効果を重視」という原則を貫く必要性を明確にしている。また、融資提供と土地供給の引き締め、投資規模の効果的な抑制を強調し、相応の穀物生産支援策を相次いで打ち出した。これにより、融資による通貨供給量(マネーサプライ)を抑え、土地管理を強化し、固定資産投資の急激な成長の抑制を図っている。過去1年余りの実践を振り返ると、中国共産党中央委員会と国務院は、経済運営に萌芽的・局部的な問題が出現した時に、果断に政策決定を打ち出し、的を絞った措置をタイミングよく実行して主体的に調整を進めてきた。その結果、今回のマクロ調整では、比較的小さなコストで、比較的速く効果を上げることができた。

「人民網日本語版」 2004年11月19日