3人が腕を組んだ形にシンボル化された「世」――。2010年に上海で開かれる世界博覧会(上海万博)のエンブレムがこのほど決まり、中国共産党中央政治局委員で国務院の呉儀副総理が発表した。
「世」は「世界」、また「世界博覧会」を意味する。数字の「2010」、英語の「EXPO」「SHANHAI CHINA」とうまくマッチしたデザインで、多元的な文化の調和と融合の願いが込められ、基調色にした緑は溢れる生命力と創造力を表現している。
採用されたのは、34歳になる邵宏庚氏のデザイン。その意図について「3人は、“君(貴方)、僕(私)、彼(彼女)”で構成される全人類を抽象的に概括したもの。万博の理念である『理解・意思疎通・一同に集う・協力』を、中国の国粋ともいえる書法を使って表出し、上海万博は全人類にとって平和に向けた盛大な集いである、との情報を伝えたかったからだ」と邵氏。
発表会場で、政治局委員で共産党上海市委員会の陳良宇書記は「エンブレムが公表されたことで、万博の社会的アピールは新たな段階を迎えた。中国、そして上海市はこれを機に、準備作業を全面的に推進し、上海全市、全国、そして全世界の人々に万博をより理解してもらい、万博に参加してもらい、ともに力を合わせてこの万博を成功させていきたい」と呼びかけた。
上海世界博覧会事務協調局副局長で、エンブレム募集弁公室の黄耀誠主任は「『世』は、2008年北京五輪の篆刻化されたエンブレム『京』に呼応するもので、同工異曲の趣がある。2つのエンブレムはともに21世紀初頭に2大国際イベントを開催するため、中国の人々が伝統を発揚するとともに、世界に融合しようとたゆまぬ努力をしていることを真に訴えるものでもある」と強調。
エンブレム募集は2003年12月から始まり、社会各界の反応は大きく、締切日の7月31日までに全国の各省・自治区・直轄市、香港・マカオ・台湾地区、それに15カ国から計9046件の作品が寄せられた。まず有識者15名で構成される審査委員会が100点を選別。万博実行委員会がそのなかから5点を推薦し、組織委員会が最終決定した。募集から審査までの過程では、「公開・公平・公正」の原則が徹底された。
上海市の韓正市長は「エンブレムは万博のイメージマークであり、そこには内外の人々の万博に寄せる期待と深い思いが内包されている。これによって万博の認知度はより高まり、支持してくれる人もさらに増えていくだろう。中国には、成功裏に、充実した中身の濃い、忘れがたい万博を開催できる自信がある」と強調した。
国務院は先ごろ、エンブレムを含めた上海万博関連の知的財産権を保護するための『世界博覧会標識保護条例』を採択。同条例は12月1日に施行された。今後、上海万博の名称をはじめ、関連するエンブレムやマスコット、テーマソング、それらの専有権は法により保護されることになる。
「チャイナネット」2004年12月1日
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