新年を迎えるバレエの夕べ、4回目となる「中国バレエ祭」が12月29日、北京の人民大会堂で開かれる。北京では「バレエを観賞しながら新年を過ごす」文化イベントが定着しているが、とりわけ今回のバレエ祭は、中央バレエ団が12月31日に創設45周年を迎える記念すべき年での開催となる。
中央バレエ団の発展は、中国が45年にわたり歩んできたバレエ芸術の歴史を物語るものでもある。この45年で中国は、世界のバレエが400年かけて成しとげた成果を手にすることができた。
◇世界第6位のバレエ団に
現在、世界的に公認されている10大バレエ団のなかで、中央バレエ団は第6位にランクされる。バレエ団のレベルを評価するにあたっては、上演できるプログラムがいくつあるか、また刷新されたプログラムがいくつあるか、が最も一般的な基準。中央バレエ団が現在演じられるプログラムは、約30を数える。「白鳥の湖」を手始めに、「紅色娘子軍」を上演し、そして現在熱演中の「大きい紅い灯篭を高くかかげる」、この3大プログラムを経て中央バレエ団は、世界のバレエ界でトップクラスの座に登りつめた。
中央バレエ団が演じた「白鳥の湖」は、ロシア版。1959年、旧ソ連の専門家の指導の下で、創立したばかりの北京舞踏学校実験バレエ団(中央バレエ団の前身)が世界的に著名な「白鳥の湖」を上演した。これを契機に、同バレエ団は各国の長所を吸収し始める。フランスや英国、ロシア、デンマークなど世界の著名な流派に学ぶとともに、中国バレエの特徴と融合させるなど、中国流派の確立に向けての模索が始まった。
中国人が創作した「紅色娘子軍」。1964年10月8日、大型バレエ劇「紅色娘子軍」が中央バレエ団に誕生し、中国の特色を備えた中国バレエの確立に向けて歩み始めた。「紅色娘子軍」の誕生により、中国の観客は西洋文化と融合した優れたシーンを観賞することができるようになり、同時に西洋の人々は、バレエという貴族の芸術が、戦争をテーマにした物語で強い劇的な対立性を表現するために用いられたことに驚きを感じた。
「大きい紅い灯篭を高くかかげる」は多元的な発展に向けたモデル作品で、これよって中国バレエは大きな飛躍をとげた。中央バレエ団は著名な映画監督・張芸謀氏と、作曲家の陳其鋼氏の協力を得て、中国バレエの完全に刷新された発展方向、つまり、より多元化された芸術手段を用いてバレエが表現できる「言語」を豊かにする、とした方向性を具体的に示した。同時に芸術性と娯楽性を融合させるとともに、舞台表現と映像編集、世界音楽の最新の成果が相互に浸透し、結合された「バレエの饗宴」を実現した。この作品は内外のバレエ界にセンセーションを巻き起こし、中国バレエを世界バレエ界の頂点に向け、完全に刷新された姿で飛躍させることになった。
◇世界最高のスターは中国に
「中国は世界クラスのバレエのスターを抱えている。ただ、観客はまったくそれを知らないかのようだ。実際、今日、世界最高のスターは中国にいる」。国内メディアにこうしみじみと語ったのは、デンマークロイヤルバレエ団の芸術総監督だ。1980年代後期以降、中国のバレリーナはモスクワやバルナ、ジャクソン、大阪、ヘルシンキなどで開かれた国際バレエコンクールで、ほとんど優勝か準優勝に輝いている。
◇世界に進出する「紅色計画」
中国バレエは世界に向けて歩みだす過程で、民族バレエを表現した「紅色」プログラムを演じることで世界に清新な印象を与え、刷新された道を歩んでいくとの姿勢を世界のバレエ界に鮮明にした。中央バレエ団は1994年、世界に進出するための「紅色計画」を始動。「紅色娘子軍」や「大きい紅い灯篭を高くかかげる」を代表作にした中国の民族バレエは、その急成長で世界を驚嘆させた。
ロシアバレエが中国に紹介されてちょうど40年を迎えた1999年の10月、中央バレエ団は「白鳥の湖」全幕と「紅色娘子軍」1・2場、「舞姫」3幕、「黄河」などのプログラムを携えて、中国バレエの“恩師”でもあるロシアで公演を行った。公演はロシア舞踏界を沸き立たせ、ロシア人は“小学生”が成しとげた進歩と成果に驚くととともに、ロシア自身のバレエの発展方向に問題を提起する形となった。ロシアの主要メディアはこう報道した。「中国バレエの発展は、ロシアバレエに巨大なプレッシャーを感じさせた。同時に、ロシアバレエに新たな発展方向を提起してくれた。ロシアのバレエは偉大なロシア民族の芸術に根ざしたものだが、今日、こうした民族の芸術が発展しつつあること、われわれは、バレエをいかにして民族芸術に結合させるか、という新たな方法を、中国のバレエそのものに感じ取った」
中央バレエ団は2003年10月、英国とフランス、イタリアで公演。「紅色娘子軍」や「大きい紅い灯篭を高くかかげる」などの上演は3カ国で好評を博し、世界バレエの発祥地であるヨーロッパの観客は初めて東洋バレエの神韻を肌で感じ、中国バレエの力強い鼓動を耳で聴くことになった。
◇45周年を祝う特別バレエ祭
この45年の間、中央バレエ団も人々の成長とともに成熟し、壮大な規模を誇るまでになった。間もなく訪れる新年を前に、創設45周年を記念するとともに幅広い観客への感謝の意味を込めて、中央バレエ団は12月29日、北京の人民大会堂で「中国バレエ祭」を開催する。今回のバレエ祭には、全国5大バレエ団に所属する国際コンクールで優勝したバレリーナが一堂に会するほか、モスクワ大劇場など、世界の著名なバレエ団の首席芸術家や芸術総監督も参加する。
「チャイナネット」 2004年12月10日
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