周・中人銀総裁「金の個人投資業務を発展させる」


 中央銀行である中国人民銀行(中人銀)の周小川行長(総裁)はこのほど記者会見し、「金の個人投資業務を発展させることは、金市場を商品取引から金融商品取引へと転換させるための現実的な選択だ」と強調した上で、金融リスクを有効に防止しながら、金の先物商品を徐々に打ち出していく考えを示した。

 現在、住民の預貯金残高は12兆元(1元=約13円)。個人が手中の現金を投じて金資産に替えられるようにすれば、預貯金を投資する道は広がり、通貨の需給も調整することが可能だ。金は価値を保持しリスクを回避する良好な手段であり、金の個人売買業務の発展には現実性がある。

 1987年の改革開放以来、金は都市部住民の間で一般商品、とくに消費品として広まってきた。ただ金の投資や価値の保持など金融商品としてのニーズには追いつかないままで、金取引は現在もある程度統制されていて、市場の投融資機能は十分発揮されていない。

 周総裁は「現在、上海金取引所での主要な取引形式は確定現物取引である。今後は市場の成長に伴って、先物を含む様々な金派生商品業務を徐々に打ち出していく。同取引所は今年2月と8月、現物取引方式を基にそれぞれ「T+5」(5日引渡)と引渡延期業務を開始した。これによって金の製造企業や金を必要とする企業はヘッジング(相場変動に伴う損失を先物で保険する)が可能となり、投資家に多元的な投資手段が提供されるなど、市場の取引商品は多様化した」と強調。

 さらに周総裁は「中国の金市場はいまだ閉鎖的である。取引に参与できる会員は国内の金の製造・関連企業、商業銀行に限られており、自由に輸出入することもできず、同時期に国際市場との24時間取引も不可能だ」と指摘するとともに、金市場をさらに開放する◇早急に国際金市場とリンクさせる◇国際市場の一翼を担うための条件整備を積極的に進める◇国際市場への脱皮を図る――との方針を明らかにした。

 金取引市場が立ち上がってまだ2年にすぎないが、市場規模は著しく拡大し、投資商品も増えて市場への参与者も増え続けている。上海金取引市場の会員数現在108社。年間取引量は235.35トン、取引高229億6200万元、実際引渡量は148.62トン。

         「チャイナネット」2004/09/13