中国の文物は世界の文物の中でも重要な地位を占めている。しかしながら、「価値の高い中国の文物は、海外市場に流れ散逸してしまっている」ので、長い間中国の文物収蔵界の心を痛ませてきた。2003年、上海大学の陳文平教授は「中国の文物の流失数量は数百万点に上るという驚くべきもので、貴重な価値を有するものだけでも数十万点が、47カ国に流失している」ことを明らかにしている。
2004年の年頭、「家蔵の宝物――2003浙江民間収蔵珍品大展覧会」が浙江博物館で開催されたが、民間企業家が提供した「宝物」には浙江博物館の趙雁君副館長も驚いた。彼は「驚愕」と形容しながら「民間収蔵品がこんなに多く、こんなに質が高いとは驚きだ」と語っている。晩商(約紀元前17世紀〜約紀元前11世紀)の「獣面紋銅鼎」、後漢(25〜220年)の「重列神人車馬画像鏡」、唐代(618〜907年)の「狩猟菱花鏡」、清代(1616〜1911年)の「乾隆雲竜紋剔紅小?」…これら海外に流失して既に長い時が流れていた、中国の歴史文化を深く内包した文物を目の当たりにして、この文物専門家は落涙を禁じえなかった。
展示された文物の大部分は民間収蔵家が海外から買い戻してきたものであるが、これら浙江博物館に展示された文物は、彼らの収蔵品のほんの一部に過ぎない。氏は「浙江の実業家の収蔵品は、その量と質において、既に浙江博物館を凌いでいる」と確信をもって語っている。
一般の省級博物館が一度に数千万元を支出して海外の文物を購入することなど不可能であるが、一部の個人収蔵家から言えば、年に数千万元を出して海外オークションに参加することなど、極めて当たり前のことなのである。多くの西洋国家では文物の収蔵は個人博物館が行なうのが一般的である。わが国でも《文物保護法》修正後、文物の民間売買、交流、収蔵が便利になり、民間博物館が収蔵を行なうのも一般的趨勢になっている。
2004年6月、浙江温嶺に祖を発する天地集団の社長は、6930万元という大枚を叩いて陸儼少の《杜甫詩意百開冊》を落札した。
2004年、香港の秋季オークションの会場で、浙江徐竜食品集団の徐其明社長は、450万香港ドルの清代雍正時代(1723〜1736年)の正粉彩桃紋盞、400万香港ドルの元代(1206〜1368年)青花竜紋罐を競り落とした。徐其明はこれに先駆けて行なわれたロンドンとニューヨークの競売オークションにも参加しており、今年の彼の海外文物に対する投資は既に3000万元を超えている。
北京「2004年中貿聖佳春季オークション」会場で、長い間国外に流出していた明(1368〜1644年)末清初の大画家・陳洪綬の作品《花鳥図冊》を、浙江中凱集団が2800万元で買い戻した。
紹興の某民間企業の社長は、内外の後漢会稽鏡(一種の青銅鏡)を専門に収集しており、2004年時点ですでに400点を収蔵しているが、これは国内のどの博物館も太刀打ちできない収蔵量である。
永康林炎集団の李林炎総裁は、最も忘れがたい記憶は国際オークションに参加したときのことで「周りは全て外国人で、競りにかけられるのは全て祖国の海外に流失した家宝だった。私は絶対にこれらを故郷に連れ戻す、との決意を新たにしたのです」と語っている。
収蔵品を競り落とした時、多くの人が値上がりを期待するが、こうした国宝を再び国際オークションに出すケースは稀である。企業家の多くは、死後に自分の収蔵品が国の財産になると考えている。国有博物館の隆盛は民間収蔵者の支持無くしては語れず、上海博物館の汪慶正館長がかつて「民間の収蔵が無ければ、今日の上海博物館は無い」と語ったとおりである。
「チャイナネット」 2005/01/11
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