人民元、国際取引や決済の主要通貨に


香港金融管理局の任志剛総裁はこのほど、同局のウェブサイト上に『世界の外貨準備』という文章を発表し、外貨準備の中で世界の超大国の通貨が独占的な地位を占める「自然の周期」はおよそ百年と見られているが、ドルはすでに1920年から現在までずっとこの地位を占めており、ゆえに理論的には外国為替市場における今後20年の変化に注意しなければならないと指摘した。 

任志剛総裁はまた、米国は現在、極めて深刻な構造問題に直面しており、低貯蓄率、巨大な経常赤字にさらに巨大な財政赤字も加わっており、他の国がいつまでもアメリカを支えることはありえず、とりわけ双子の赤字は急速に増加していると語っている。

仮にこのアンバランスの状況が続けば、ドルの外貨準備における人気度もある程度下がる可能性がある。懸念されるのは、IT技術発展のもとで、マーケットの力がますます大きくなり、本来緩やかに進む通貨プロセスが急激に変化し、金融の安定に大きな打撃をもたらす危機になる恐れがある。しかし、任志剛総裁は、市場においては米国債へのニーズがかなり大きく、ましてや当面主導的地位を占めることができ、選択の余地を提供してくれるその他の貨幣は存在していないと指摘している。

任志剛総裁はさらに、将来人民元は必然的に国際取引や決済における主な通貨となり、とりわけアジア域内の取引においてそういうことになろう。仮に中国内陸部では改革開放政策が引き続き推進され、経済が持続的かつ急速的に伸び続ければ、仮説ではあるが、人民元は世界の国々の外貨準備に組み入れられる可能性がある。香港金融管理局は金融システムの整備に力を入れており、人民元を国際取引や決済システムに組み入れ、国際取引の中で人民元が主要な通貨になることを願っていると語っている。

最後に、任志剛総裁は、「我われはこうした最新の変化に注意を払っている。我われは人民元が国際の舞台においてますます重要な役割を果たすことを確信している」と語った。そして、アジア域内の経済・貿易の融合が日増しに強化され、中国内陸部はまたアジア域内の数多くの経済体の最大の貿易パートナーであり、貿易決済通貨として人民元を増やすことは明らかにプラスとなると指摘している。