商務部対外経済研究院の多国籍企業研究センターは1月26日、「中国における多国籍企業レポート2005」を発表した。このレポートは25年間の中国の外資導入の成果を客観的に評価する一方、多国籍企業による外国直接投資(FDI)の大量増加にもかかわらず中国の科学技術水準の向上が緩慢なものであるとも鋭く指摘している。
レポートによると、中国の改革開放の初期から2004年9月までにかけて、中国が導入した外資系企業による直接投資は5500億ドルに達し、外資系企業の直接投資が国内総生産(GDP)に占める割合は40%以上という。しかしFDIを主にもたらす多国籍企業の地位は独占傾向が顕著で、FDIの大量導入のもたらすマイナス影響は広がっている。その最も主なものとして「市場開放しても相応の技術向上は獲得できない。これはわれわれとの『市場と技術の交換』という当初の想定とかなり大きな隔たりがある」と指摘している。
「われわれは、FDIが近代的な技術、概念、サービスをもたらす媒体の役割を過大評価したのではないか。私は、これは再考しなければならないと思う」。中国社会科学院大学院の王春法教授は「市場と技術の交換」への評価について同様の観点を持っている。「少なくともこれまで見たところ、FDIの大量導入は中国の科学技術刷新の本質的飛躍をもたらしてはいない」
王教授は2003年1―4月、研究グループと共に北京、上海、蘇州、東莞の4都市でFDI企業約400社を対象に調査を行い、研究レポート「外資利用とわが国の自主的な創造能力の向上についての研究」を仕上げた。
このレポートの主要な研究ポイントは、FDIのもたらした大量の外国の科学技術が地元産業の構造や科学技術の自主的な創造能力にどのような影響を生むか、だ。王教授がその中で提起した重要な観点は、FDIが大量の外国の科学技術をもたらしても、実際には地元に元からある科学技術を「押し出す」影響があることだ。
「産業と商業化の視点から言うと、外国の先進的な科学技術のもたらす製品が、国内に現存する技術で生産した製品を実際にはある種、駆逐してしまうことがある。この結果、われわれが彼ら(多国籍企業)と競争したいのであれば彼らの技術を購入しなければならない。この循環は初めから、われわれが常に技術革新において突破口を開くことが難しいことを意味する」と王教授は指摘する。
「人民網日本語版」 2005年2月17日
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