中国科学院(科学アカデミー)はこのほど、「2005中国持続可能な発展に関する戦略報告」を出版した。報告には中国の都市化や各地域の持続可能な発展を全面的に分析し、「都市化を加速すべき」と提案している。中国科学院可持続発展戦略研究チームの首席科学者、牛文元氏はこのほど、記者の取材に応じた。
――都市化は地域格差を拡大し、貧富格差を拡大し、社会における不公平の度合いを大きくするとの見方がある。あなたはなぜ、都市化は社会における公平の実現に役立つと考えるのか。
これは認識上の誤解だ。都市化の初期は確かに、広大な農村と都市の間で財産の取得、生活の質、社会的保障などの格差が広がり、農村が都市を支え、農業が工業を支えるという基本的な構造ができあがる。
中国は2003年、人口1人あたりの国内総生産(GDP)が1千ドルに達した。都市と農村の二元的構造を示す係数は平均で1対3以上に達し、都市と農村の格差や、地域格差を表す数値はいずれも比較的高くなっている。中国の都市化戦略プロセスは第2の転換期に差し掛かっており、都市と農村の発展の全体的な発展計画、都市から農村への「恩返し」、工業による農業のサポート、地域経済の一体化などを今後の都市化プロセスの中心としなくてはならない。われわれが強調する都市の持続可能な発展とは、都市が農村に補償を与え、都市と農村が共に豊かになることが前提だ。
――都市化によって、「三農(農業、農村、農民)」問題をどの程度解決できるか。
中国の「三農」問題の根本的な活路は、農民を大幅に減らすことにある。農村の余剰労働力を大量に吸収して農民の数を減らし、都市化戦略の実現、国民の資質と技能の向上、雇用機会の創出を図ることによってのみ、最終的な達成が可能になる。農村人口が総人口の25%以下になれば、農業用地における生産の集約化、大規模化、専門化がある程度の水準に達し、農業の技術的価値、サービス水準、生産コストは大幅に改善し、農民の所得水準と全体的な資質も大きく進歩し、「三農」問題は根本から解決されるだろう。
「人民網日本語版」 2005年3月3日
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