2005年 中国の経済・社会が直面する十大課題


2005年、中国の経済・社会の発展にとって有利な条件が数多く存在するが、問題と矛盾も依然として無視できない。中国が直面する課題は、10点にまとめることができる。国務院発展研究センターの盧中原・マクロ経済部長、社会科学院社会学研究所の陸建華研究員はこのほど、新華社の要請を受けて、2005年の中国の十大課題についてコメントした。

1.穀物の供給不足

【課題】中国では現在、年間数百億キログラムの穀物が依然として不足し、輸入や備蓄による補充を余儀なくされている。農業特産税や農業税の減免など、国の政策の実施につれ、農民の増収・負担軽減の余地が狭まるとみられる。

【論評】盧部長:新段階の「三農(農業、農村、農民)」問題を新たな思考で解決する必要がある。特に都市・農村とを分割との体制による障碍を取り除き、農民に改革と発展の成果を分かち合わせる必要がある。

2.無計画な投資の再発

【課題】一時は抑制されていた無計画な投資に再発傾向が見られる。無秩序な発電所建設プロジェクト、携帯電話端末メーカーの生産能力の早すぎる拡大などがある。

【評論】盧部長:今後、投資の安定的な成長を保ちながら、過剰投資を防止する必要があり、さらに投資体制改革を進める必要がある。経済的、法律的な手段などを運用して投資方向を導き、市場のニーズに基づいて優良事業の支援、問題のある事業の制限を進め、産業構造の改善を促進する。

3.なお逼迫する石炭・電力・原油・運輸の需給

【課題】中国経済が新たな成長期に入るとともに、今年は資源による制約という矛盾がより鮮明になり、石炭・電力・原油・運輸の需給は依然として逼迫するとみられる。

【評論】盧部長:エネルギーなどの「ボトルネック」による制約を緩和するには、経済成長モデルの抜本的な転換が必要だ。基礎産業の価格決定システムを早急に改革し、先見性のある発展計画を策定し、石炭・電力・原油・運輸の供給増を合理的に導く必要がある。

4.生産手段の価格上昇

【課題】生産手段の急騰はすでに2年にわたり、川下の製品・価格に対する影響も徐々に現れつつある。

【評論】盧部長:今年の物価に影響する主な要素は、国内の生産手段価格の継続的上昇による圧力だ。政府による価格改定では、「価格法」の関連規定を確実に順守し、独占業界や公用事業、公益サービス分野の物価急騰を防止するべきだ。同時に、市民の注目が集まる医薬品・教育費の高騰も適切に解決するべきだ。

5.依然厳しい雇用情勢

【課題】雇用の需給不均衡や構造矛盾は、短期間での抜本的改善は難しい。特に中・西部や旧工業地域、一部の困難な業界、破産・倒産企業、資源の枯渇した都市、生活困難を抱えるグループなどの間では、雇用問題が依然として目立っている。

【評論】盧部長:労働力の需給不均衡を緩和するには、新しい就業分野、就業形態の多様化、多様な就業ルートの開拓に重点を置くべきだ。

6.解決の待たれる体制的弊害

【課題】早すぎる投資増加、大きな物価上昇圧力、エネルギー供給の逼迫など、2004年の経済発展の中で表面化した問題は、いずれも背景として体制面の弊害が見られる。

【評論】盧部長:重要分野での改革措置で連携し、局面の打開に努力することが急務となっている。マクロコントロールの手法自体にも、市場経済の客観的な法則に見合うよう改革を急ぐ必要がある。

7.貿易大国から貿易強国への壁

【課題】昨年、中国の輸出入総額は初めて1兆ドルの大台を突破し、前年の世界第4位から第3位へ浮上し、名実共に世界の貿易大国となった。しかし、貿易強国にはほど遠い。

【評論】盧部長:今後、開放型経済を推進する上で、貿易の成長モデルを品質・収益重視型へ転換させる必要がある。

8.炭鉱の安全生産への取り組み

【課題】昨年以来、石炭が供給不足となる一方、重大な炭鉱事故が頻発している。

【評論】陸研究員:安全生産の問題を解決するには、安全設備の交換や改造を早め、炭鉱の安全生産の条件を改善し、石炭工業を安全、良質、高効率、環境配慮の方向へ徐々に進める必要がある。

9 停滞する社会事業の発展

【課題】社会事業、特に教育や衛生といった国民全体のための福祉事業が遅れている。

【評論】陸研究員:経済・社会のバランスの取れた発展体制を整える必要がある。新しい体制により、政府の役割を再定義し、政府の公共的特徴を明確にし、社会・公共へのサービスという基本的役割を強化する必要がある。同時に、企業・資本利益の反映モデルを規範化し、社会事業に対するサービスを担わせる必要がある。

10.急務となる腐敗防止システムの構築

【課題】現在、一部地方の腐敗問題は依然として十分に抑止されず、重大事件が頻発している。

【評論】陸研究員:腐敗を根本から防ぐためには、処罰・防止をともに重視する腐敗対策システムを構築し、腐敗防止事業を強化する必要がある。腐敗を生む深層の問題を改革によって解決する姿勢を堅持し、政府の役割転換を急ぎ、制度構築を強化し、権力行使に対する監督・制約を強化する必要がある。

                     「人民網日本語版」 2005年3月2日