上海リニアは今 商業化の成果と課題(経済視点)(3)


実のところ、リニアに関する議論はまだ続いている。リニアの安全性を疑問視する声もあり、リニアの経済効果も避けて通れないテーマとなっている。ある学者は「交通の動脈としての役割を担えなければ、リニアはただの観光スポットに過ぎない」と述べる。

上海リニアは、04年5月1日の正式運転から年末までの8カ月間、収入から運転コストを差し引いた収支は黒字だった。しかし現在の状況をみると、全長30キロ・わずか2駅の上海リニアから100億元近くの投資額を回収するのは、不可能に近い。こうした状況の客観的に評価はどうなのか。

上海社会科学院の左学金・常務副院長は、新型の交通機関を評価する2つのポイントとして、スピード、安全、騒音、環境、旅客輸送力など技術面の実行可能性と、経済効率とを挙げる。上海リニアの運営状況については「技術はほぼ完成しており、大規模な旅客輸送に使用するにも理想的だ」と評価する。

一方、経済効率については「全長30キロは適切な距離ではないだろう。少なくとも180キロから200キロが必要だ」と指摘する。左常務副院長によれば、交通設備への投資には固定コストと流動コストがあり、上海リニアの固定コストは大きいものの、新路線を続けて建設する場合は、新規固定コストの投入が不要になる部分が多く、全体的なコストの引き下げにつながるという。また、▽駅が2つしかない▽旅客流動量が少ない▽龍陽路駅での地下鉄など他交通手段とのアクセスが不便――など問題が乗客の選択に影響しているとみられ、改善が待たれるとしている。

                     「人民網日本語版」 2005年3月2日