中国人民銀行の周小川頭取はこのほど「人民日報」記者の取材を受けた際、社会で大きな波紋を引き起こしている住宅ローン金利の引き上げ政策について次のように語った。
記者:中国人民銀行はこのほど、個人向け住宅ローンの優遇金利を同じ期間の貸し出し金利水準に戻し、不動産価格が急騰している都市では、頭金の下限を30%まで引き上げるという政策を打ち出し、社会で大きな波紋を引き起こし、反対の声もある。この政策の狙いはなにか。
周:この政策の目的はまず、消費者の将来の資金・価格に対する予想を合理的なものに誘導することにある。現行の個人向け住宅ローンは中長期貸出であり、その金利は固定のものではなく、経済状況に従って変動するものである。現在、一部消費者が購入した住宅の価格はその収入の負担できる金額を上回っている。今回の金利の小幅調整は、消費者に金利の変動による支出負担増大の可能性を意識させ、リスク意識を呼び覚ますことがその目的の一つである。
もう一つの重要な目的は、銀行業界のリスク意識を呼び覚ますことである。中国の住宅政策の改革は前世紀末ごろにスタートし、ここ数年間に一応完了したものである。個人向けの住宅ローンは数多くの銀行にとってまったく新しい業務である。従来の貸出業務と比べ、住宅ローンのほうが銀行にとってよりうま味のある業務なので、銀行のこの業務を展開する姿勢は非常に積極的なものである。しかし、冷静に見極めなければならないのは、この業務が展開してまだそれほど長くないので、現在までに蓄積したデータから中長期貸出のデフォルト率を推定することは難しい。また、市場経済においては、景気の変動が避けられないものであり、今は景気上昇のサイクルにあるが、経済が下方調整のサイクルに入れば、デフォルト率が上昇する可能性が大きくなる。今回の政策調整は、商業銀行のリスク意識を呼び覚ますことが目的で、商業銀行は預金コスト、費用コスト、中長期貸出のデフォルト率などをじっくり研究した上で、自社の業務展開における判断を下すべきである。
「チャイナネット」 2005年3月30日
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