中韓関係シンポで中国の初代駐韓大使が講演

 

人民日報社と韓国・東亜日報社の共催によるシンポジウム「反ファシズム戦争勝利60周年記念――中韓関係の過去、現在、未来」が25日、ソウルで開かれ、中国の初代駐韓大使を務めた張庭延氏が基調講演した。主な内容は以下のとおり。

世界反ファシズム戦争において、中韓両国人民はいずれも深刻な苦難を受け、敵と長期にわたって不撓不屈の闘争を行い、世界反ファシズム戦争の最終的勝利に卓越した貢献を行った。このため、中韓両国人民は平和の尊さをより感じており、東アジアおよびアジアの平和と安定をより大切に思っており、両国人民の築いてきた善隣友好関係をより重視している。

1992年8月24日、中韓両国は正式に外交関係を樹立した。これは国際的な冷戦構造の考えを脱して、対話と和解へ歩み出した必然的結果であり、両国関係の全面的な発展のために広大な道を切り開いた。中韓両国は国交を樹立してまだ13年しかたっていない。歴史の長い流れの中ではほんの短い一瞬だ。しかし中韓関係は全面的な発展を遂げた。それは主に次のような分野で現れている。

(1)相互信頼の関係を築いた。中韓両国が国交を結んだ後、両国の指導者は頻繁に相互訪問を行い、両国各界の人々はさまざまな分野にわたる広範な交流を行い、長期にわたって隔絶していたことによる相互不信の関係を徹底して改めた。

(2)国際社会において相互に支持、協力している。国連や重要な国際会議で、両国は共通または似た立場を持っており、互いにとても良く支持、協力し合っている。

(3)朝鮮半島情勢が平和と安定へ向かうよう共に進めている。特に現れているのは、朝鮮半島核問題で、われわれ両国の立場は最も近く、朝鮮半島核問題の平和的協議による解決のため最大の努力をすることに少しも揺らぐことがない。

(4)両国の経済貿易関係は急成長し、互いに重要な貿易相手国となった。中韓貿易額は2004年までに900億ドルを突破した。中国は韓国にとって第1の貿易相手国および最大の投資対象国となった。韓国は中国にとって第3の貿易相手国だ。中国はまた韓国の第1の輸出大国である。

(5)科学技術、軍事、文化、スポーツなどの分野における交流の展開が非常に活発である。

中韓関係はごく短い間にこうした大きな成果を得ることができた。主な原因は(1)両国関係における相互尊重と緊密協議(2)国際舞台における相互支持と密接協力(3)朝鮮半島情勢の緩和への共同推進、努力(4)経済貿易協力の互恵発展(5)北東アジアおよびアジア太平洋地域情勢の平和発展に向けた共同推進――である。

現在の世界情勢の発展は複雑に入り乱れている。だが全般的に平和と発展が依然として大きな2つのテーマであると言える。北東アジアと朝鮮半島から見ると、各国はこの地域の平和と安定の実現を望んでおり、情勢が揺れ動いて不安定化するのを見たくはない。中韓両国は国際問題において一致あるいは似た立場を持っている。これを基礎として、両国はこれから一層緊密な協力を進めることが可能で、地域と世界の平和と発展のために貢献していくだろう。

両国の経済貿易関係の発展から見てみると、両国とも多くの新しい発展のチャンスに直面している。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してすでに3年がたつ。市場はさらに開放され、外国資本の流入にメリットがあった。その上、中国は現在、2008年の北京五輪への準備を積極的に進めている。都市インフラや競技場建設の分野で多くのビジネスチャンスが現れ、外国企業参入の選択肢を提供できる。中国自身の持続的発展は韓国を含む各国企業の中国進出に多くのチャンスを提供した。韓国のLG、サムソン、ヒュンダイなどの企業グループによる対中投資がここ数年来、急成長していることが一つの証だ。韓国家電などの製品は中国でよく売れており、韓国・ヒュンダイ自動車の乗用車は北京のあちこちで見られる。これは韓国企業の競争力をはっきり示しており、ここ数年の中韓経済貿易関係の急成長の重要な原因でもある。

未来を展望すると、私は中韓関係の将来性に楽観的姿勢を持っている。われわれ双方が共に努力し、相互信頼を一層増し、問題の中で機会をしっかりつかみ、出現可能なさまざまな障害の解消に努めたなら、中韓関係の見通しはより良いものとなるだろう。このため、私は(1)両国首脳の相互訪問を堅持し、相互の信頼と理解を絶えず増し、両国関係発展の大局を重視し、この関係のさらなる発展のために努力する(2)朝鮮半島情勢の緩和に向けて共に努力、推進し、南北の和解と協力を実現させ、米朝および日朝関係の早期関係正常化実現を促す――ことを提案する。現在、6カ国協議で密接に協力している。両国はさまざまなビジネスチャンスを利用して、両国の経済貿易関係の発展を競争の中で推し進め、出現可能な問題については事前に協議するべきであり、現在の基礎の上にさらに大きな成果を得てほしい。政治、軍事、安全保障分野における交流を強化し、国際的な多国間活動における協力を進め、地域の安全と経済発展のために貢献を進めてほしい。両国関係発展において起きるいくつかの問題は避けられないものだ。両国が時機にかなったコミュニケーションを行い、率直に誠意をもって意見を交換し、事前に措置を講じて障害を未然に防げば、両国関係の大局に影響を与えることは避けられる。

「人民網日本語版」 2005年3月30日