2年近く続いた「農民労働者不足」がついに、企業に賃金や福祉など待遇の適度な引き上げを促した――。
労働・社会保障部が春節(旧正月)後、農民の出稼ぎ状況について行った最新の調査結果によると、珠江デルタ地帯では70%の企業が80〜150元(1元は約13円)と、賃金を引き上げたほか、多くの企業が労働者募集で学歴、性別などの条件を緩和させた。
3月30日付けの『人民日報』(海外版)は、企業の待遇が原因で、農民労働者の流動傾向が顕著になっており、流動先もより多元化しつつあると報道。これまで多数の労働者を受け入れてきた珠江デルタ地帯は今や、その魅力を失いつつある。
安徽省や湖南省などでは、数多くの農民が長江デルタ地帯に出稼ぎに出ていることが調査で分かった。大量の労働力を送り出してきた四川省でも、農民は珠江デルタ地帯から長江デルタ地帯へ、また省内で移動する傾向にある。出稼ぎ者の多かった土地でも経済の急成長から、年配の農民は地元で就業するようになってきた。
労働・社会保障部によると、農民労働者不足は今でも一部の地区で見られる。とくに珠江デルタ地帯では、従来の労働者過剰からほぼ均衡状態に転じたが、衣料品や飲食、電子玩具など労働集約型企業では労働者不足が依然として深刻。主因は、低賃金など労働条件が劣悪なこと。また構造的な問題も重大だ。企業が求めるのは女性だが、求職者は男性が多い。多くの企業は長年にわたり最大限度の利益追求からコストを圧縮、とりわけ労働者の賃金を低く抑えてきた。10年余りで平均賃上げが68元と、物価上昇分を考慮すれば賃金は実質的にマイナス、という地域もあるほどだ。
「チャイナネット」 2005年4月1日
|