軍国主義との境を明確にすることが重要(評論)

 

アジア近隣諸国の反対の声の中、日本の文部科学省は史実を深刻に歪曲した「新しい歴史教科書」をなんと検定で合格させた。人々はこのことで、日本の小泉首相やその他の日本の政界要人が毎年同様に被害国人民の感情を顧みず、A級戦犯をまつっている靖国神社の参拝を続けていることを連想する。さらに注目すべきことは、最近の日本が米日軍事同盟を強化して共通の戦略目標を広げると同時に、論争のある海域と島で隣国を刺激するさまざまな行動を取っていることだ。

人々は疑問を抱かざるを得ない。日本の為政者はなぜこのように周辺の世論を無視して、わが道を行くのだろうか、と。

理由の一つは、米国を後ろ盾としていることだ。日本は、イラク戦争で他の同盟国との関係が悪化して孤立の淵に陥った米国が、日本に手助けしてほしいと求める気持ちを、自らのために使えることに気付いた。一方、ブッシュ大統領は就任後、日本を自らの世界戦略における駒の一つにしたいとも考えている。ブッシュ大統領は、米国は日本が国連安全保障理事会の常任理事国になることを支持し、日本が世界の大国になるのを手助けするとすでに表明している。そこで日本は米国の力を借りて一挙に世界の政治大国、軍事大国になりたいと思うようになった。

理由の2つ目は、日本の「皇国史観」と「大和民族優越感」が再び勢いを盛り返してきたことだ。この「新しい歴史教科書」では、伝説上の「神武天皇」も次世代を教育する「史実」となり、それによって「皇室は世界で最も優秀な遺伝子である」「万世一系こそ日本が世界で最も優秀な原因である」と日本を称揚している。また同時に「新しい歴史教科書」はアジア諸国を侵略して植民地化した行為を「アジアに幸せをもたらした」と描いている。教科書はこう記している。「日本は、長い間にわたってアジア諸国を植民地として統治してきた西欧諸国の勢力を駆逐し、ずっと白人に勝つすべはないと思って意気消沈してきたアジア民族を驚かせ、自信をもたらした」「日本が南方の国々へ進出したのは、もともと日本の『自立自衛』のためだったが、アジア諸国がこれほど速く独立する効果をもたらした」。彼らの筆によると「真っ先に目覚めた」優秀な民族で構成された日本が、アジア各民族の「救世主」と「大恩人」になり、アジア諸国の独立は完全に大和民族の「恩寵」によるものとなる。

こうした民族史観から見てわかることは、日本の一部の右翼政治家と右翼学者が思想的に軍国主義と同じ流れを汲む源を持っており、彼らはもともと軍国主義と明確に区分けしてほしいと願っていないことだ。これが理由の3つ目だが、日本の一部の人々はもともと軍国主義の伝承者を自負している。第二次世界大戦の終結時、いわゆる共産主義の拡張を抑えるため、米占領当局は日本軍国主義勢力を徹底的に清算しなかった。そのため、その残された害毒は後の時代にまで幾度となく波風を起こしてきた。アジア諸国は一貫して理性的に一部の軍国主義分子と日本国民を区分けしてきた。しかし、こうした右翼勢力は決してありがたく思わず、彼らは絞首刑にされた戦犯らをむしろ誇りに思っている。これこそ、彼らが各国の抗議を顧みず、何度も繰り返し靖国神社を参拝し、東京裁判(極東国際軍事裁判)の合法性を必死で否定しようとする原因である。

事実、もし日本が本当にアジア諸国の尊敬を得たいのならば、責任を負う正しい国になることだ。それには必ず当時の恥ずかしむべき軍国主義の歴史を勇気を持って正視するとともに徹底的に清算し、合わせて被害国人民に心から謝罪することである。間違った立場と方法を持ち続けるならば、日本は国際的な孤児にならざるを得ない。

「人民網日本語版」 2005年4月8日