「人民元切上げ圧力は誤り」 米経済学者インタビュー(1)

 

米国議会上院は今月6日、中国に6カ月以内に人民元レートを切り上げるよう求める修正案を可決した。同修正案によると、中国が人民元切り上げに同意しない場合は、中国からのすべての輸入製品に対して一律27.5%の報復関税を課すことになる。これについて米国の経済学者数人に電話でインタビューした。

▽「米国はレート問題で中国を非難するべきでない」ローチ氏

ウオール街の有名投資銀行・モルガンスタンレーのチーフエコノミスト・ローチ氏は「米国上院の最近の一連の反中国的姿勢は驚くに当たらない」と述べる。ローチ氏によると、すでに数週間前に、ワシントンの政界関係者が「2005年は、ここ10年来で米中貿易関係がもっとも緊張する年になるだろう」と話している。長らく中国に関心を寄せているローチ氏は、米中経済関係の発展に懸念を感じているといい、次のように述べた。

米国はレート問題で中国を非難するべきではない。中国に米国の貿易赤字の責任を負わせてスケープゴートにするのは大きな誤りだ。米国人の印象とは反対に、中国の輸出の急増は中国の企業自身がけん引したのでなく、主に多国籍企業が中国に設立した支社や中外合弁企業によりもたらされた。

過去11年間に、中国の輸出額は6.5倍に急増し、1993年の917億ドルから2004年には5934億ドルに飛躍した。増加額のうち62%は米国、欧州、日本およびアジアの一部の国などの外資系企業によるものだった。こうした数字は、中国の輸出力が強大化した原因は、主に米国を含む西側諸国の企業の力にあったことを示している。

米国に巨額の貿易赤字と経常赤字が発生した原因は、主に米国国民の低すぎる貯蓄率にある。統計によると、2002年年初以来、米国のドル安要因を踏まえた国民貯蓄率は過去最低を更新し、対国内総生産(GDP)比率はわずか1.5%まで下がった。国内の貯蓄不足により、米国政府は膨大な経常赤字と貿易赤字を通じて海外資本を導入せざるを得なくなった。ある国が貿易赤字を避けられない場合、最もよい方法は労働力コストが低い国と貿易することだ。これはまったく当然のことだ。中国は米国の貿易赤字の中で最大のシェアを占めている。これは米国にとって実によいことで、米国の消費者に低価格・高品質の中国商品を購入する機会を与えている。

以上の理由を踏まえると、人民元を10%切り上げても、米国の経常赤字と貿易赤字の問題は根本的に解決されない。ワシントンの政界関係者はこのロジックを理解しているが、有権者からの圧力に迫られてわからないふりをしている。

                    「人民網日本語版」2005年4月18日