外資系企業の独資化、その影響と対応(2)

 

外資系企業の独資(外資100%)企業化への対応措置

▼海外企業への良好な投資環境の整備

外資系企業は中国の経済発展において重要な役割を発揮している。外資系企業は、納税による税収、雇用機会の提供などのほか、多くの関連企業の発展をけん引している。松下電器など大手の関連工場は国内に3千社以上ある。これらの多国籍企業とその関連企業は、中国製造業の水準向上を後押しし、地域経済の発展を促進した。また、研究開発施設や調達施設を中国に設立する多国籍企業も増えており、松下電器が中国で申請した専利(特許、実用新案、意匠)は1年間で1800件あまりに達する。米小売大手ウォルマートの中国での商品調達額は1年間で150億ドル以上だった。こうしたことが中国の関連産業・企業の発展をけん引している。このことからわれわれは、引き続き海外企業に優秀なサービスを提供し、良好な投資環境を作っていく必要がある。

▼自主開発能力の強化

中国は長期にわたり、海外の投資元企業に頼りすぎていたため、独自のコア技術や営業販売ルートを持たず、管理の立ち後れなどの問題が依然として目立っている。外資系企業の独資化の傾向は、外資系企業からの技術拡散に影響するおそれがある。中国企業は自主開発能力を強化し、核心競争力を育てる必要がある。第一に、自主開発の意識を高め、独自開発能力を向上させる。政府はこれに向けて、政策や資金でのサポートを強化すべきだ。第二に、OEM(相手先ブランド生産)からオリジナル製品の開発へと段階的に転換させていくことだ。大量のOEM生産によって自主開発能力を高め、最終的に独自の知的財産権を持つ製品やブランドを作り出し、国内産業構造のグレードアップを促進する。これは多くの国が歩んできた、半分の労力で倍の成果を上げる外資導入の道であり、中国の外資導入の主要目的でもある。中国企業はOEMだけに留まってはいられない。独自の知的財産権を持つ製品とブランドを作り出していかなくてはならない。

▼優位性による相互補完をベースにした、海外企業との協力の強化

開放されて間もない分野では、海外企業は市場開拓に向けて依然として中国側の合弁先を探し求めている。合弁企業の体制と経営システムが順調であれば、経営を続けていけるだろう。このことは中国企業に対して、引き続き合弁という形で外資と協力する機会を与えている。また、時機に合わせて外資と協力し、戦略的同盟を幅広く締結し、世界市場の開拓を模索していかなくてはならない。

▼外資の力を借り、タイムリーに戦略を調整

外資系企業の独資化の傾向は現在拡大しつつあり、中国企業はタイムリーに戦略を調整しなくてはならない。多国籍企業が世界規模のサプライチェーンを中国で展開することによるチャンスをつかみ、企業の統合再編能力を高め、海外経営能力を高め、自主的に国際市場を開拓し、国際経済の大きな流れに参入していかなくてはならない。

▼重要領域や特殊領域での必要な政策的制限の実施

過度の独資化によって、独占や産業コントロールが生じやすいため、空輸・エネルギー・金融などの特殊領域や、通信・電子など中国でまだ技術が成熟していないハイテク産業では、外資系企業の独資化を適度に制限しなくてはならない。

                  「人民網日本語版」2005年4月18日