中日関係と日本を理性的に見よう(評論)

 

今年は世界人民反ファシズム戦争勝利60周年にあたる。ヨーロッパ人、特にドイツ人の第二次世界大戦に対する反省が新しい局面に入ったことに伴い、欧州統合も絶えず前進している。アジアでは、日本の右翼勢力の影響が近年目立つことで、日本が歴史問題を含む一連の問題で誤った姿勢と方法を取り、中国人民を含むアジア人民の民族感情を深く傷つけ、中日関係には複雑な局面が現れた。

あるルクセンブルクの友人が私に教えてくれた。1950年代初め、かつてナチス・ドイツに侵略された欧州諸国の人々はドイツ人への敵意で満ちていた。それからやがて、3つの原因がドイツ人に対する欧州の人々の見方を少しずつ変えていったという。(1)民間交流の増加(2)ドイツ人のざんげと反省(3)ドイツによる欧州統合推進への努力――だ。

われわれが今話題にしている日本は、やはりドイツ人のざんげと反省とは対照的である。しかしヨーロッパ人からすると、双方の民間交流の増加も重要な原因だ。当時、欧州統合を考え出した人々は遠大な見識を持っていた。なぜなら、彼らは経済的な結びつきによって最終的に欧州から戦争の影を消し去るとともに、ドイツが反省する上での大きな力ともなり、最終的にはナチスが生き残るのが難しい世論環境を作り出すことを見通していたからだ。

この友人が言った民間交流とはもちろん経済、文化などの各分野の交流を含むべきである。ここ数年来、中日間のこうした交流も絶えず深まっている。日本のブランド製品は中国ですでに誰もがよく知っており、日本では中国製品がいたるところに存在する。双方の経済は「あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる」状態だ。文化など他の多くの分野での交流も絶えず深まっている。中日関係の断絶は共倒れになるしかない。これこそなぜわれわれが中日関係の現状を理性的に見なければならないかの一つの大きな原因である。中日の経済貿易などの分野における協力は互恵的なもので、双方の利益にかない、われわれは協力が影響を受けることを望んでいない。友好的に付き合い、協力で両者が得をするとは、両国人民の根本的利益にかなう唯一正しい選択だ。より広範な協力を通すことによって初めて、われわれは日本人をより多く理解でき、日本人もまた中国人をより多く理解できるのだ。双方の感情のコミュニケーションと交流は最終的に日本の右翼の生き残りづらいある種の世論環境を作り出し、中日関係の健全な発展のための基礎をようやく築くことができる。

もしわれわれが中国の平和発展という観点から中日関係を見ると、理性はさらに重要であると見える。21世紀に中国が発展する上で最大の難題の一つが「中国脅威論」だ。一部の西側諸国の右翼勢力と同様、日本の右翼も自らの主張のために「中国脅威論」を口実に利用している。世界的に関心を引き起こしているかもしれないことは、中国が今の先進国の生活水準に達することができるかどうかだけでなく、ある種どのような発展モデルでこうした水準に達するのか、この種のモデルはまたどのような核心的価値観に支えられているのか、このような価値観はまたどのような精神的力で現されるのか、ということである。強大になりつつある中国は経済が徐々に強大になるだけでなく、さらに精神的な強大さも明確に示さなければならない。世界の文明に対する影響と貢献にとって、後者は恐らく前者よりさらに重要となる可能性がある。

ここ最近の西側メディアの報道を見ると、彼らが中日関係の最近の変化に関心を持つ着眼点は、この問題において中国人が寛大な心と高度の知恵を使ってこの問題を処理できるかどうかである。さもなくば、日本の右翼に中国の平和発展を攻撃する「砲弾」を造らせることになるだけでなく、西側諸国に現れた「中国脅威論」のさらなる「市場」となる可能性もある。

かつて中国人民に深刻な被害をもたらした国である日本を理性的に見よう。特に日本に右傾化の傾向が現れた時にこそである。もちろん容易なことではない。しかし容易でないからこそ、われわれ中国人の精神力をはっきり示すことができるのだ。

                    「人民網日本語版」2005年4月23日