モンゴル バイカル湖の水を北京に

 

先般、中国駐在モンゴル大使館は「モンゴル北部の水資源を南へ導くプロジェクト」の新聞発表会を主催し、コンガドールキ・元モンゴル首相、ポーロド・モンゴル自然資源保護部長および10ヵ国、28社の代表が出席した。世界華人懇親会秘書長、中国宝貝国際投資グループ理事長である卞洪登氏は「モンゴル北部の豊かな水資源を南へ導くプロジェクトは、モンゴル南部の鉱産企業を悩ませている水と電力の不足を解消し、中国にマイナスの影響を及ぼしている砂あらしの対策にもなろう」と語った。

累計投資額は150億ドルに

ポーロド氏によると、同プロジェクトは北から南へ走る三本のパイプラインを建設し、東部ルートは500キロ、中央ルートは1100キロ、西部ルートは800キロで、投資総額は50億ドルに達する。また、追加される大型水力発電所を加えれば、累計投資総額は150億ドルに達すると見られている。投資する側はパイプライン建設に株式参加する形で水と電力の開発に参画することとなっている。それ同時に、東西方向に連接されるパイプラインをも建設し、送水パイプラインのネットワークを形成することになっている。今年6月、モンゴル自然資源部の「北部の水を南へ導くプロジェクト」中国事務所が北京に設立されることになっている。

砂あらし対策としての役割を果たす

ポーロド氏によると、同プロジェクトはモンゴルに進出する国外の鉱産企業が直面している水と電力の不足を解消することになっている。卞洪登氏は「モンゴルの北部は水資源に富むので、国内の人口は主に北部に集中しているが、モンゴル南部における砂漠化は深刻化であり、中国を悩ませている砂あらしが解決できない要因の一つとなっている。このほど、国連と世界銀行の支援によって、モンゴル南部に着工される3000キロの緑化エリアとこのプロジェクトはモンゴルにおける砂あらし発生源である砂漠化対策としての役割を果たし、北京を含む中国の各地、ひいてはアジアの数多くの国が砂あらしの被害をこうむる歴史に終止符が打たれることになる」と語った。

中国の鉄鋼会社がモンゴルで鉄鉱を採掘

卞洪登氏は「当面、モンゴルには3000ヵ所の鉱山があり、その大部分は中国の企業によって開発されている。中国の首都鉄鋼会社、包頭鉄鋼会社、鞍山鉄鋼会社はぞれぞれモンゴルに鉄鋼採掘企業を設立しており、中国非鉄金属総公司はモンゴルでアジア最大の金鉱の採掘をおこなっており、黒竜江省の大慶市もモンゴル東部で石油採掘にたずさわっている。このプロジェクトは、鉱産企業がともに直面している水不足の問題を解消するものとみられている。これによって、中国の鉱産企業はより多くの鉱産を採掘することが可能となろう」と語っている。

北京市民はバイカル湖のミネラル・ウォーターを飲用することに?

卞洪登氏によると、同プロジェクトのもう一つの延長として、モンゴルのスフバートルからザミンウデに至る運河を南へ北京まで伸ばすことである。また、モンゴルに最も近い包頭を経る黄河から北へ延びる運河を掘削し、前述のプロジェクトとつながることも考えている。当面、モンゴルはロシアのバイカル湖から北京に水を導く計画を練っている。2004年に、モンゴル議会は「モンゴル北部の水資源を南へ導くプロジェクト」を批准しており、バイカル湖からの導水プロジェクトについて、モンゴルはロシアと交渉を行っている。将来において、北京の人々はバイカル湖からの高山ミネラル・ウォーターを飲めることになるかもしれない。

「チャイナネット」 2005/05/25