中国の国連改革問題に関する立場文書

 

中国政府は7日、「中国の国連改革問題に関する立場文書」(ボジション・ペーパー)を発表した。安全保障理事会についての内容は次のとおり。  

安全保障理事会改革は多方面に及ぶ。拡大問題をはじめ、役割の効率向上や業務の進め方の改善など重要な問題も含む。安保理改革は以下の原則に従うべきである。  

(1)安保理の権威と効率を高め、世界的脅威と課題に対応できる能力を高める。

(2)発展途上国の代表を優先的に増やす。発展途上国は国連加盟国総計の3分の2以上を占めているが、安保理における代表は非常に足りない。この状況は必ず是正しなければならない。

(3)安保理に参画する機会をより多くの国に譲るべきである。特に中小国が順番に安保理の政策決定に参画させる。

(4)地域バランスの原則を堅持し、文化と文明の代表の双方に配慮を加える。

(5)各地域に関連する改革案はまずその地域グループ内で一致させるべきである。中国は、一部の国が提唱した地域輪番制を重視、考慮するに値すると考える。

(6)協議の一致を堅持する。これは国連憲章の重要な精神であり、目的は各国、特に中小国の国家利益に配慮することである。協議が一致して得た決定こそ最も広範な信用と支持を勝ち取ることができる。中国は人為的な期限設定や強行採決に反対する。各国の意見はまだ大きな相違がある。

大量破壊兵器拡散防止に関する内容は次のとおり。  

(1)中国は大量破壊兵器の全面禁止と徹底廃棄を一貫して主張している。この種の兵器と運搬道具のいかなる形の拡散に反対する。中国は国際核軍縮プロセスを一貫して積極的に進めてきた。

(2)核兵器保有国は互いに核兵器を先制使用しない条約を締結するべきである。核兵器保有国は非核国または非核地域に対する核兵器の使用や核兵器による威嚇をしてはならない。これを定めた拘束力のある国際法文書を締結すべきである。

(3)国際社会は「核不拡散条約」の普遍性と権威の維持、強化に向けて、適切かつ有効な方策を採るべきである。条約締結国は建設的姿勢で条約の三大目標にバランスよく対応すべきである。

(4)中国は「包括的核実験禁止条約」を支持する。条約が早期に効力を発生することを望む。中国は核実験の暫定停止を継続し、条約の早期批准に努力する。

(5)中国はジュネーブ軍縮会議で達したバランスある活動計画に基づき、核兵器および核爆発装置生産材料禁止条約の早期交渉スタートを支持する。

(6)中国は国際原子力機関(IAEA)規約の主旨に基づき、核兵器拡散防止と各国による核エネルギーの平和利用促進の分野における重要な役割発揮を支持する。現在の情勢下で、国際協力と協議を通して、核不拡散システムの強化をどう探るかが必要だ。IAEAの保障、監督の有効性を一層強める適当な措置を含めてである。IAEA附属議定書の重要性を強調し、その普遍性の強化を望む。

国連改革に関する内容は次のとおり。

中国は、国連改革は以下の原則に従うべきであると考える。  

(1)改革は多角的主義の推進に寄与し、国連の権威と効率を高め、新たな脅威と課題に対応する能力を備えなければならない。

(2)改革は「国連憲章」の目的と原則、特に主権の平等、内政不干渉、紛争の平和的解決、国際協力の強化という点を守らなければならない。

(3)改革は全方位、多分野にわたり、安全と発展の両分野で均衡を保たなければならない。特に国連の活動における「安全保障重視、発展の軽視」の状態を転換し、発展の分野、特にミレニアム発展目標の実現、推進に力を入れなければならない。

(4)改革は加盟国が最大限度に満足するものでなければならない。特に広範な発展途上国の要求と関心に配慮すべきである。民主主義を発揚し、十分協議し、最も広範な一致を求めるよう努めなければならない。

(5)改革は先に易しい点から着手し、後で難しい点に取り組み、順を追って漸進すべきである。国連加盟国の団結の維持、増進に寄与する。一致に至った提案に対しては早期に決定して実施すべきである。なお相違点の残る重大問題については、慎重な姿勢をとり、引き続き協議し、広範な一致を得られるよう努め、人為的に期限を設定したり、採決を強行したりして推進すべきではない。

                      「人民網日本語版」2005年6月9日