ユネスコの第29回世界遺産委員会が7月10日から17日まで南アフリカのダーバンで開かれているが、同委員会に出席している建設部都市建設司の王鳳武副司長は、世界自然遺産に登録された雲南省の「三江併流」(怒江・瀾滄江・金沙江流域)景観の保存状況に同委員会が関心を寄せていることについてこのほど記者会見し、「中国代表団は委員会に実情を説明するつもりであり、同遺産が危機遺産リストに登録されることはない」との考えを示した。
三江併流の景観は、青海・チベット高原が南部に延びて山脈を横断する渓谷に位置し、怒江と瀾滄江、金沙江の流域と流域内の山脈とから構成される。世界でも希少な地質や動植物、景観、民族文化の多様性が一体となった高山の峡谷。総面積は1万7000平方キロ。2003年に世界自然遺産に登録された。
この中で王司長は「一部の非政府組織(NGO)やメディアが、政府は三江併流遺産内に水力発電所を建設する計画だと報じたことで、世界遺産センターはその保護状況に高度な関心を寄せている。同センターは今回の委員会で同遺産の評価を行うことを提起するとともに、来年、専門家を雲南省に派遣して実地調査をする予定だ」と説明した。
その上で王司長は「実際、三江併流遺産のある場所やその周辺の緩衝地帯ではこれまでに、中国政府の認可を得たダム建設プロジェクトは1件もなく、いかなる水力発電所の建設にも着手していない。水力発電プロジェクトは計画から事業化調査、さらに認可されるまでに十数年から数十年かかる。メディアが報じた同地区でのすべてのプロジェクト立案は、現段階では水力発電企業の構想にすぎず、現実化は不可能だ」と指摘。
さらに王司長は「中国代表団は同委員会で事実をさらに明確にするつもりであり、委員や各国の代表、専門家の理解が得られると確信している。世界遺産センターと国際自然保護連合(IUCN)が専門家を雲南省に派遣し実地調査を行うことを歓迎する」と述べるとともに、「自ら独自に判断してほしい」と期待を示した。
この問題について、雲南省発展・改革委員会エネルギー局の王勇副局長は「雲南は水力発電資源が豊かだが、同時に生物資源の多様性を誇る、観光の発達した省でもある。雲南は資源開発と環境保護をともに重視する原則を一貫して、揺るぐことなく実行しており、三江併流の景観は雲南の世界クラスの“ブランド”でもあり、高度に重視されるのは当然だ」と強調した。
王司長と王副局長は同時に「世界遺産のある場所は無人の地ではなく、開発しないわけにもいかず、保護を絶対的に強調するために当地の経済発展を考慮しないこともできない。最も重要なのは、発展と保護のバランスをいかに模索して、双方のプラスとなるようにするかだ」と指摘した。
中国は現在、30カ所が世界自然・文化遺産に登録されており、その数で世界第3位にあるが、危機遺産リストに登録されている場所は1カ所もない。
「チャイナネット」2005年7月15日
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