立命館大学で孟子像の贈呈・除幕式

 

昨日(7月22日)日本の立命館大学で孟子像の贈呈・序幕式が行われ、中国国務院新聞弁公室の蔡名照副主任、中国駐大阪総領事館の邱国洪総領事、葛広彪副総領事、日本国の一部国会議員、京都府の関係者、地元の大学、メディア、大手企業の代表200人余りが出席した。

国務院新聞弁公室の蔡名照副主任は贈呈式で次のようなあいさつを述べた。

尊敬する川本八郎理事長先生

尊敬する長田豊臣学長先生

尊敬する邱国洪総領事

ご来賓の皆様、友人各位、先生方、学生の皆さん

こんにちは。

私は、緑燃える、山紫水明の地を再び訪れ、今日の孟子像の除幕式に出席することができたことを、大変嬉しく思っております。

昨年12月、私と中国国務院新聞弁公室の趙啓正主任は貴校を訪問しましたが、そのとき、川本理事長が私たちに、「立命館」という校名は、中国古代の有名な思想家であり教育者である孟子の「身を修(おさめ)め、以(も)って命(めい)を立つ」という言葉から取ったものであると言われました。私たちはその場で相談し、中国国務院新聞弁公室が立命館大学に、一体の孟子像を寄贈することを決めたのです。

帰国後、私たちは孟子像の製作の任務を、孟子の故郷である山東省に与えました。山東省政府の新聞弁公室は、地元のもっとも優秀な専門家、学者、芸術家を組織し、孟子像製作の計画を研究しました。

孟子は今から2500年以上も前の人で、歴史的には、彼を描いた画像はほんの少ししか残されておりません。研究、製作に当たった人々は、大量の歴史資料を閲読し、歴代の孟子画像の各種版本を参考にし、繰り返し論証して、孟子の平面画を、生きているかのような最高の立体彫像にするため、努力をいたしました。

今年5月、私は山東省の孟子像製作現場に出向いて、進捗(しんちょく)状況を調べました。孟子の彫像は、山東省が産出する、優れた薄い灰色の花崗岩に刻まれていました。孟子像は手に竹簡を持ち、正大で剛直な精神を示し、偉大な思想家の風格と風貌をしています。幸いなことに、私はこの先哲の立体的イメージの「誕生」を、この目で最初に見ることができたのです。これは、中国政府が外国に贈呈する最初の孟子の彫像であり、また日常の孟子の姿を描いた最初の「公式の像」でもあります。

孟子は、孔子の後に現われた儒家思想の代表的な重要人物です。彼の主張は、孔子の思想と併せて「孔孟の道」と言われ、後世にきわめて大きな影響を与えました。中国では、孔子は「聖人」と呼ばれ、孟子は「亜聖」と呼ばれています。

孟子が生きた戦国時代は、動乱の不安定な時代で、年々戦乱が打ち続き、民衆は生活の手立てを失いました。孟子は「済世救民」を己に任じ、仁愛と平和を追求し、社会正義を探求し、「君(きみ)を軽(けい)とし、民(たみ)を貴(き)とする(すなわち君よりも民を第一に考える)」仁政学説を提起しました。そして彼は仁政の理想実現のために奔走し、呼びかけました。彼は20余年の長きにわたり各地を遊説し、貧困のためさすらい歩いても志を変えませんでした。そうすることによって、高尚な人としての節操と、高い精神的境地を表したのでした。

孟子は晩年、隠居して学問を講じ、書物を著わして説を立てました。彼は学校の教化の役割をとても重視し、「天下の英才を得て、これを育てる」ことを人生最大の楽しみとし、教化こそ人々を善に導き、良好な道徳的気風を形成することができると考えていました。

孟子のこうした考えは、彼の母によるところがきわめて大きいのです。彼は幼くして父を失い、母によって教育され、立派な人となりました。母は孟子が安心して勉強でき、学問の才能を伸ばせるような環境を創るため、三度引っ越しすることもいとわず、良い隣家を選んで住み、ついに一代の哲人を育て上げたのです。「孟母三遷」の物語は、中国の誰もが知っている経典的な事例となっています。

7月18日、孟子の故郷が組織した「孟子生涯展」が立命館大学で開幕しました。この展覧会を通して、人々は孟子の偉大な一生と儒家思想に対する彼の傑出した貢献とを概括的に理解することができるでしょう。

孟子の言葉に「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」という名言があります。この言葉の核心は「和」にあります。中国の伝統文化は一貫して「和」の思想に貫かれています。孔孟以来の大多数の思想家たちもみな、「和をもって貴しとなす」を提唱しています。「和」の思想は、中華民族が普遍的にもっている価値観と追求すべき理想となっていて、今日でも、中国人民の生活、仕事から内政、外交など各方面にわたり、広く、深い影響を及ぼしています。中国人民はこれまでも一貫して、人と人との間の、また国と国との間の誠意ある相互信頼と平等な待遇、平和と友好、礼節ある往来を重んじてきました。

先哲のこうした教えから、私たちが次のような啓発を得ることができます。それは、平和は人と人との交際の最高の境地であり、国際的な往来の最高の境地でもあるということです。

中日両国は一衣帯水の関係にあり、中日の文化は、水と乳のようによく融け合っています。中日両国人民の友好往来は、地理的に優位性を持ち、歴史的にも深い淵源があります。両国が長期的に安定した友好関係を樹立することは、両国人民の共通の願いと根本的利益にかなうばかりではなく、アジアと世界の平和と発展にとって有利であります。

今日、二千年以上前の偉大な思想家、孟子が、中国人民の友好の心を携えて、海の彼方から貴校にやってまいりました。私は、中日両国の、この深くて厚い文化の淵源が、過去から現在にまで伝わり、また未来にも必ず引き継がれてゆくと信じております。

皆様、ご静聴、ありがとうございました。

                        「チャイナネット」2005/07/23