中国政府、「末端での就業へ」ー大卒生を誘導奨励

 

 中国政府は最近、大学卒業生の末端での就業を誘導し奨励する一連の政策を発表しました。

 これらの政策は各地大学で大きな反響を呼んでおり、22日北京で開かれた中華全国学生連合会の全国代表大会でも話題となり、多くの人は「大学生が末端で就業することは国と個人のいずれにとっても有益である」と見ています。

 中国では数年前まで、毎年の大学卒業生数がそんなに多くないため、大多数の大学卒業生は大中都市や経済の比較的発達した地域で就職することが可能であり、大型企業、外資系企業、政府機関、研究開発機関、大学などが主な就職先となっていましたが、末端である都市部のコミュニティ、都市を離れた郷と鎮で就職する人が少なく、経済の遅れている西部地区へはほとんどの卒業生が行きたがらなかったのです。

 しかし、ここ数年、高等教育事業の急速な拡大に伴い、毎年、大学卒業生の数が急増し、1999年は100万人だったのが、今年は338万人にまで拡大しています。こうした情勢の下で大学卒業生の就職は楽観視できなくなったのです。それにも関わらず、大多数の卒業生は依然として末端や西部地区で就職する意向がないとのことです。

 一方、中国の西部地区、農村部、末端の機関・組織では人材不足の問題が深刻で、大学卒業生への需要が高まってきたのです。

 これについて人事省の侯建良次官は「中国では、これは大学卒業生の就業における構造的矛盾となっている。この矛盾を解決するため、大学卒業生を誘導し、その就職理念を変更させ、西部地区、辺鄙地方や農村部で就業させなければならない。こうして大学生の就業と人材の需要とを結び付け、卒業生の就職での需要、及び末端、辺鄙地方と農村部の人材需要をいずれも満足させる必要がある」と語りました。

 大学卒業生の就職難に対応するため、政府は市場の主導的役割を強調し、マクロ的な規制と政策による誘導を強化しています。また地方では一連の政策措置を制定し、末端における大学卒業生の就業を助成してます。

 関連調査によりますと、中国では末端の県とその下の郷と鎮での収入は大都市に比べ格差が大きく、大学生への吸引力が低下しています。これに対応するため制定された新規の就職奨励策には、卒業後自ら志願して辺鄙地方や条件の悪い業種に就職して一定の年数に達した大学卒業生に対し、政府がその大学ローンの未済部分を代わって返済し、また西部など辺鄙地方で就職する卒業生は比較的高い給料をもらえるなどの優遇条件が盛り込まれています。

 これら優遇政策に対し、大学生達は関心を寄せており、末端での就職を意向する人が多くなっています。

 北京農業大学の学生で今年卒業の韓非さんは「西部など末端で就職すれば、自らの才能を引き起こせ、見識を広げ、経験を積めるので、将来に有利である。西部地方に一生をささげても損ではない。西部地区は人材と発展を共に必要としているからだ」と語りました。

                        「CRI」より 2005/07/25