上半期の対外貿易を振り返る 課題は輸入の拡大

 

中国の対外貿易の発展状況を振り返ると、いくつか注目すべき問題があることが分かる。まず、上半期は対外経済貿易の輸出超過が大幅に増えており、国別の貿易不均衡がさらに目立っている。国内のマクロ経済情勢を考えれば、輸出の急成長と輸入の低成長という傾向が逆転する可能性は少ない。仮に1年を通じた輸出増加が25%で、輸入増加が18%とすると、貿易の輸出超過は800億ドル近くなり、過去の最高水準の2倍に達する。

同時に、国ごとの貿易不均衡も際立っている。輸出超過の増加は、主に米国と欧州が原因で、韓国やロシア、オーストラリアとの貿易では輸入超過の傾向がさらに強まった。大まかに見積もって、今年の米中貿易で中国からの輸出超過は、1000億ドルを超えると予測される。中国から欧州への輸出超過も600億ドルに達する見込みで、欧米の保護貿易勢力に新たな口実を与えそうだ。

次に、生産時のエネルギー消費量の多い製品や資源製品が、引き続き大量に輸出されている。上半期、鋼片の輸出量が前年同期比3.6倍、鋼材が同2.5倍に増えた。これら業界では過去数年で投資が急激に増え、生産能力はすでに大きく伸びており、輸出を抑えることはかなり難しい。

第3に、中国に向けられた保護貿易の気運の高まりがある。米中の貿易摩擦は激化。米国は今年、輸入品の不公正取引などにかかわる関税法337条関連の調査を11回行い、そのうち中国がらみが5回と最多だった。対中貿易の輸入超過と、人民元相場の問題、知的財産権保護などの問題に高い関心が集まっている。米国議会では上半期、中国貿易に関連して11の議案が提出され、ブッシュ政権に、中国に対し断固とした措置をとるよう要求した。

欧州連合(EU)の保護貿易の傾向も強まる一方だ。EUは今年、靴類の輸入監視を強化した。6月12日には中国製作業靴に対するダンピング調査の開始を発表した。8月13日には、2つの電気製品に関し、環境保護を理由に回収命令を出しており、中国の輸出用電気製品の生産に、マイナスの影響を及ぼすとみられる。発展途上国との間でも摩擦が絶えない。アルゼンチン、コロンビア、メキシコ、ブラジルは、中国に対し特別な保護措置を取る可能性があり、インドなどでは中国に対する反ダンピング措置の気運が高まっている。

第4に、人民元切り上げに向けた、内外の圧力が引き続き高まっている。輸出が急速に伸びているため、中国の外貨準備高も急速に上昇し、中央銀行による通貨政策の調整もさらに難しくなっている。米国は、中国に対する貿易赤字を、人民元の為替レートの問題に転嫁している。米国議会と政府、それに一部の業界団体は、人民元の切り上げを絶えず要求し、一部の議員は中国の為替操作を口実に、すべての中国製品に懲罰的関税をかけるよう要求している。

今年上半期、中国の対外貿易の発展環境は、国内外とも全体的に良好だ。商務部は、今年一年の対外貿易が15%成長の目標を達成できると予測している。外国資本による対中投資の環境も依然として良好で、外資導入額は去年の水準をやや上回るだろう。

そこで下半期は、以下の点に力を入れるべきだ。(1)輸出の成長モデルを転換し、輸入を適度に拡大する(2)外資をより高度に活用し、国家級開発区の発展水準をさらに高める(3)海外進出の戦略を加速し、繊維産業などで原産地を多元化する(4)多国間、二国間の経済貿易事業をすすめ、地域的な経済協力に積極的に参加する(5)貿易摩擦には適切に対処し、国内産業を確実に守る。 

「人民網日本語版」 2005年8月11日