人口動向に5大変化・専門家、
ピーク時でも16億未満と指摘

 

人口はピーク時に16億人に達するのか?中国社会科学院人口・労働経済研究所の張翼研究員は先ごろ、この問題について「北京日報‐理論週刊」に一文を寄稿。この中で張研究員は「中国の人口に関する新たな状況を把握しておらず、根拠に欠ける憶測でもあり、国内外に不要なある種の“恐れ”を招くものだ。こうした見方は一面、エネルギー需要や食糧消費を誇大視している。実際、政府が努力を積み重ねてきたことで、20世紀後期以降、人口の動向に多くの新たな変化が見られるようになった。将来、総人口が16億に達することはない」と分析している。

張研究員は人口が13億に達した以降の人口動向の変化について、以下の5点を挙げた。

(1)将来、総人口は16億人に達することはなく、14億5000万人前後となる。これが人口13億人に達した以降最大の特徴だと言える。2004年の出生率は12.29‰だが、高齢化の影響から死亡率がやや増加(6.42‰)したことで、純増人口は761万人となった。都市化が引き続き加速し、将来、農村部から都市部への出稼ぎ労働者数が増え続け、現行の計画出産政策を継続すれば、出生率がさらに低下するにつれ年間人口は純減していく。将来の人口のピークは比較的早い時期に訪れる。恐らく2020年代中後期になるだろうが、メディアが頻繁に報道しているような16億人に達する可能性は薄く、14億3000万~14億5000万人に留まるはずだ。

(2)人口の増減傾向に変化が生じた。従来の高出生率、高自然増加率、低死亡率から低出生率、低自然増加率、低死亡率へと変化し、この傾向は十数年続いており、ほぼ安定して推移している。中国政府と人民が数十年にわたり努力を積み重ねてきた結果であり、中国を含む世界の人口膨張に歯止めをかける上で功を奏した。

(3)2020年までは労働人口を確保することができる。ピラミッド型の人口構成は現在、底辺が収縮する傾向にあるものの、今後15年間に15~64歳の労働人口が総人口に占める割合は70%前後まで上昇し、ゴールデン時代を迎える。この間に、就業問題を着実に解決するとともに人民の資質を徐々に向上させ、人的資本を拡充させるとともに社会保障制度を完備させていけば、2020年後に訪れる高齢化がさらに進んだとしても、それに対応するだけの余力を持つことができる。

(4)労働人口の平均年齢が徐々に上昇しつつある。現在、数量的に見れば、就業問題は最も深刻な状態から抜け出しつつあると言えるが、将来的には、年間新規労働力が減少を続ける傾向にあることから、2015年以降にはマイナス増となる。大卒採用が年々増えているため、青壮年の労働者数は減り続ける。その一方、大卒者も厳しい就職難に直面する。今後数年内に大学・短大卒が現在の年間400万人から500万人まで急増するからだ。労働力市場は一般労働者(お手伝いさんや日雇いなど)不足、高等教育者の失業といった状態に陥ることになる。

(5)女性の初婚年齢がさらに上昇しているため、出生率も低下し続けている。現在、平均初婚年齢は24.45歳。市場経済が一段と進むに伴い、男性、女性に限らず専門教育をより重視する傾向にある。教育を受ける時間が長ければそれだけ就職、結婚する年齢も上昇し、出所率もそれに伴い低下していく。

「チャイナネット」2005年9月20日