10のキーワードで見る中国の「第10次五カ年計画」(1)

 
「第10次五カ年計画」は全面的勝利を迎え、「第11次五カ年計画」が始まろうとしている。人々を奮起させた10のキーワードは、5年の間に中国を発展へと導き、中国人民による祖国建設という壮大な絵巻を描き出した。

科学的発展観:中国の発展を牽引

背景:中国が1米ドルの国民総生産創出に必要とする石炭、電力などのエネルギーは、米国の4.3倍、ドイツ・フランスの7.7倍、日本の11.5倍である。2004年のGDP成長率9.5%のうち、固定資産投資によるものが6%以上を占める。販売価格が79ドルの中国製MP3プレーヤーは、米国へ45ドルの特許料を支払わなければならず、中国企業の純利益はわずか1ドル50セントでしかない。

実施措置:2004年は科学的発展観を全面的に実行した「元年」である。全面的に協調した持続可能な「発展観」、現実的なことを行い、実質的な効果を踏まえ、実績を求める「政治業績観」、人的資源を第一に考え、人材は人民群衆の中にあるとする「人材観」、「権利は人民のために、感情は人民をつなぎ、利益は人民が求めるもの」とする「群衆観」が次第に人々に広まり、中国の発展は新たな段階へと入った。

プロセス:2005年の政府作業レポートによると、消費者物価指数の上昇率は4%に抑えられており、農業税を全額免除し、貧困地区の学生に対して優遇策(学校に納める諸費用と教科書代を免除し、寄宿生には生活費補助を給付する)を実施、中央財政は再就業支援に109億元、炭鉱の安全対策に30億元を投入した……。こうした人民重視の政策は大いに支持されている。

マクロ経済調整:中国経済の急速かつ良好な発展を促進

背景:2003年以降、中国経済では固定資産投資の激増や、石炭、電力、石油の全面的な不足といった不健全要素が見られてきた。中国共産党中央と国務院はこの経済発展の重要時期に、時勢を捉えてマクロ経済調整の強化を決定。上記の経済における矛盾点と不健全因子の解決に力を入れた。

実施措置:2004年は中国がマクロ経済調整を強化・改善した重要な1年であった。胡錦涛・中国共産党中央委員会総書記は同年4月26日に中央政治局会議を開催し、経済運営で出現した矛盾・問題の研究・解決を図った。その後、政府は一連のマクロ経済調整を実施。経済、法律などの手段を活用し、与信貸付と土地への管理を強化した。

プロセス:中央政府が今回採用したマクロ政策は非常に効果が高く、調整方法も成熟を増している。強力な調整で経済運営の主導権を終始把握し、中国経済の大幅な変動を回避した。国民経済が安定的な急成長を維持することで、依然として力強い経済成長を遂げている。現在、経済運営に密接に関連する問題は、各マクロ政策との協調を継続しており、マクロ調整成果を確固たるものとして経済社会の良好な発展を維持している。

農業税の免除:「農業税」は過去のものに

背景:中国の穀物作付面積は、2000年以降年々少なくなってきており生産量も減少している。穀物作付面積は1998年の17億ムー(15ムーは1ヘクタール)から2003年には15億ムー以下となり、城郷が発展するために農村を「足切り」する現象が日増しに激しくなっている。

実施措置:中国共産党中央と国務院は「三農(農業、農村、農民)」問題を最重要課題に掲げている。国務院は2004年、2005年の2年続けて「三農」問題に関する「一号文書」を発布した。温家宝総理は2005年3月5日の政府作業レポートの中で、2006年には全国の農業税を全て免除すると述べ、5年間で農業税免除するとした目標を改め、3年間で実現するとしている。2000年から今まで、中央政府は農業税改革に対して1,835億元を支出している。

プロセス:農業税の全面免除によって、農民の各種不合理な負担が解消される。2千年以上にもわたって農民が田畑を耕して農業税を上納するという歴史が徹底的に変革される。現在までに全国28省で農業税が免除されている。「取るものは少なく、与えるものは多く」という政策によって、長い間不安定だった農民収入は、状況が変化した。2004年の農民1人当たりの純収入は2,936元と6.8%増加し、1997年以降最高となり、新中国誕生以来、食糧生産が最も増加した1年となった。

改革による攻めの姿勢:重点領域で新たな突破をはかる

背景:盲目的な投資拡大、エネルギー不足、効率の低下など、ここ2年間で中国経済に現れた問題は全て体制やシステム的な問題に関係している。温家宝総理は2005年の政府作業レポートの中で、一層の改革の必要性について言及している。

実施措置:国務院は、2005年を改革による攻めの一年と設定し、2005年経済体制の改革を進展させる意見を発表した。これによると、一層の農村改革を推進し、所有制制度の調整を継続させ、財政と税務の投資価格の改革をゆるやかに実施し、科学技術や文化衛生体制の改革を順序良く行い、政府の行政管理体制の改革を強化すると――としている。

プロセス:2005年以降、株式持分の改革、通貨レート形成の改革、投資システムの改革、国有企業改革、農村税改革、独占企業改革など一連の重要領域の改革が進んでおり、就業、社会保障、教育、医療など人民の利益に関係する改革も重視されるようになり、改革による攻めが始まっている。

就業:人民の生活を基本に

背景:就業、再就業の問題は、中国が絶えず直面している厳しい課題であり、「第10次五カ年計画」期間中にも日増しに顕著となってきた。中国の失業率は、1995年の2.9%から2003年には4.3%に上昇している。

実施措置:就業は「人民生活の基本」であり、国家は積極的な就業対策を打ち出し、対策を強化している。、中央財政は2004年、再就業への補助金として83億元(前年比76.6%増)、国有企業をリストラされた従業員に対する生活保障への補助金として127億4500万元、企業の退職者に対する基本年金基準を引き上げに22億5千万元を支出した。国家は、全国の各地に存在する国有企業のリストラ従業員の問題を2005年に解決し、今後企業が人員削減する場合は、法律に基づき失業保険を納めるか、最低限の生活保障をすることを規定した。

プロセス:「第10次五カ年計画」期間中に都市における就業状況は改善され、就業人口は毎年増加する傾向にある。2001年から2005年8月までで、全国の都市で新たに増加した就業人口は4200万人を上回った。就業職場が増え続けると同時に、中国の都市の失業率も5%以内に抑えられている。

「人民網日本語版」2005年10月8日