10のキーワードで見る中国の「第10次五カ年計画」(2)

 
公衆衛生の枠組みを作る:人民の健康を第一に

背景:中国は2003年春、突如SARS(重症急性呼吸器症候群)という疫病被害に見舞われた。SARSの蔓延によって発展する中国経済と社会が調和していない問題が明らかになった。

実施措置:中国共産党中央、国務院は、人民の健康と生命の安全を第一に考え、SARSを防ぐ研究・対策を直ちに進め、『突発的公衆衛生事件の応急条例』を定めた。中央政府は対策や財政投入などを適宜調整しつつ、SARS封じ込めから公衆衛生の枠組みが積極的に作られた。

プロセス:中国はここ2年間、疫病の予防・コントロールと農村を重点としている。全国的なシステムとして、省、市、県の3つのレベルで疫病を予防・コントロールするネットワークの建設に力を入れ、突発的な公共衛生事件の警戒と応急システムを整備している。2004年末までに、1410の県レベル、250の省・市(地)レベルの疫病予防・コントロールセンターが建設され、290カ所の緊急救援センターが相次いで開業しており、2005年には疫病の予防・コントロールシステムが完成し、突発的な公共衛生事件に対する医療治療システムが整う予定である。

安全生産:人民の生命を第一に

背景:2004年下半期から現在までの間、死者100人以上を出した炭鉱事故は全国で4回発生しており、炭鉱の安全状況が深刻になっている。国家安全生産監督管理総局のデータによると、2004年に全国の炭鉱で3,639件の死亡事故が発生し、6,027人が死亡している。

実施措置:石炭などエネルギー需要の増加につれて、ここ数年炭鉱などの安全問題が深刻となっており、作業員の生命が脅かされている。国務院は安全生産の監督管理体制を調整し、国家安全生産監督管理総局を設立した。2004年の政府作業レポートでは、炭鉱の安全を特別任務として監督管理体制とシステムを整備し、炭鉱の安全設備導入のための資金を増加した。これによって、3年以内に炭鉱の安全問題が解決する見通しである。

プロセス:国家安全生産監督管理総局は2005年、生産を停止する坑道8,648件のリストを4度に分けて発表し、年内に不合格となった坑道を閉鎖する。炭鉱の安全改造プロジェクトに中央政府が支出した資金は30億元にのぼる。

憲法改正:中国は立法の歩みを加速する

背景:2004年3月14日、第10次全国人民代表大会2次会議に出席した2,900余名の代表は、13億の人民の使命を背負い、荘厳な人民大会堂で鄭重な表決を行った。ここに中華人民共和国憲法改正案が可決された。今回の改正は現行憲法では4度目となる。

実施措置:土地の収用制度の整備、私有財産権の保護、3つの文明協調発展の強調、健全な社会保障制度の設立など、今回の憲法改正はところどころ人民のためとなっている。

プロセス:憲法改正を標識に、人民の利益に関わる法律一つ一つが議事にかけられ、順調に議決された。交通安全法が可決され、物件法草案は何度も審議された。「第10次五カ年計画」期間中、中国の民主的法制度の整備が進んできた。全国人民代表大会常務委員会は2004年、33件の法律、法律解釈、法律問題に関する決定の草案を審議し、25件を可決した。経済社会の発展を進めるため、法的保障を提供してきた。

調和社会の構築:中国の特色ある社会主義事業の新局面を切り開く

背景:2004年の中国共産党第16期全国代表大会四中全会は、共産党が執政政党として、社会主義と調和社会の建設に積極的に取り組んでいくことを明確に述べた。この党の文書の中で初めて、調和社会の構築を、経済、政治、文化の建設と同列に並べた。

実施措置:2005年2月、中国共産党中央委員会は、各レベルの党委員会と政府が社会主義と調和社会の構築を重視し、有効な指導システムと作業システムを整え、重大な問題と突出した問題の研究開発に力を入れ、新たな状況下における調和社会の構築の特徴と規律を絶えず認識し把握する必要があると発表した。

プロセス:「調和社会」の理念の提出は、中国社会の未来における発展の道に一連の新たな挑戦と変化をもたらしており、関係する法律、法規、政策および「社会調和」の思想と手段に反するものは全て調整・更新する必要がある。

WTO加盟:中国を世界にアピールする

背景:2001年11月10日23時38分、15年間の難しい折衝の末、世界貿易機関(WTO)のドーハ会議で中国のWTO加盟が決定した。その時、中国への拍手が沸き起こった。

実施措置:中国政府はWTO加盟後、2,300項目以上の法律法規を徹底的に整理・修正し、貿易に関するあらゆる法律文書を発表した。各地方政府もまた19万件以上の地方法規、政策を徹底的に整理、改正または廃止するとともに、関税を大幅に引き下げた。数多くのサービス貿易分野で開放が進み、外国企業の進出条件が大幅に改善された。

プロセス:中国はWTO加盟後、全面かつ真剣に承諾を履行すると同時に、経済のグローバル化に参加する数多くのチャンスを得た。貿易輸出入額は2001年の5千億ドル超から2004年には1兆1500億ドルへと激増、世界第6位から第3位の貿易国となった。中国は世界経済の中で発展を遂げるとともに、世界経済の健全な発展にも貢献している。

「人民網日本語版」2005年10月8日