1字の違いに3つのシグナル 第11次五カ年計画


中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議(五中全会)が11日午後、北京で閉幕した。会議では、「国民経済と社会発展の第11次五カ年計画に関する提案」が通過した。五カ年計画の中国語表記からは、これまで50年余りにわたり使われてきた「計画」の字が消え、「規画」という表記が採用された。これは確かに意義深い変化である。この「1字の違い」は、中国の経済と社会の発展について3つのシグナルを送っている。

シグナル1:「計画」から「規画」への変化は、資源配分における市場の役割発揮を、政府が特に重視していることを鮮明に示している。第11次五カ年計画の制定は、社会主義市場経済体制の初歩の確立という環境の中で行われた。現在、中国国内では、95%以上の商品資源が市場メカニズムによって配分されている。

中国社会科学院工業経済研究所の陳耀研究員は「『計画』から『規画』への変化は、わが国が計画経済から市場経済に変化する過程での歴史的な道程標でもある。『規画』の特徴は、具体的かつ微視的で指標を逐一示す産業発展計画から、マクロ的な国家レベルの発展計画への転換だ」と指摘した。

ほとんどの業界では今後、市場メカニズムを運用し、企業に投資方針の決定を任せていくことになる。投資効果が資源の流れを決定する要因となる。国の計画によって資源配分を導きながら、資源配分に果たす市場の基本的な役割も充分に活用することになる。

シグナル2:細分化され過ぎた量的指標を緩和し、政府は経済と社会の発展のマクロ的な把握と調整に重きを置くことを示している。

「計画」から「規画」への変化は、ミクロからマクロ、直接から間接、個別事業の管理から全体計画の管理、という大きな転換を体現している。専門家は、第11次5カ年計画では、経済・社会発展に対する政府のマクロ的な把握や調整、経済構造の調整、経済成長モデルの転換、資源負担能力の考慮などが強調されるとみている。同計画は、中国の今後5年間、またはさらに長い期間の発展のために、はっきりとしたロードマップを示すだろう。

シグナル3:過保護・過干渉や担当不在といった政府の問題を克服し、政府の役割転換に向けた新たな道へ踏み出すことを示している。

第11次5カ年計画では、市場競争が導入されている業界で具体的な数値目標が消えたのと対照的に、人間と社会に関する指標を増やす。例えば、雇用拡大、義務教育の強化、公衆衛生と公共の安全、健全な社会保障制度などの各方面だ。これは、政府の役割が、社会の管理と公共サービスに転換していることを示している。特に公共サービスの分野では、政府は自己制約を導入し、住民にも何らかの約束をするべきだ。

発展改革委員会マクロ経済研究院の王一鳴副院長は、「計画」から「規画」への変化を次のようにみる。

「経済の調整、市場の監督、公共分野の管理、社会サービスは政府の4大任務だ。公共分野の管理と社会サービスは、非常に重要な任務であり、同時に現在の政府にとっては最も手薄な部分だ。政府による過保護・過干渉と同時に、担当不在の問題も解決していくことが急務となっている。政府は、経済の調整と市場の監督に力を入れると同時に、公共サービス、自然環境、資源保護、環境の改善などの分野で、もっとよく公共の職責を果たすべきだ」。

「人民網日本語版」 2005年10月13日