6項目の貧困者支援開発事業を重点的に実施・第11次5カ年計画で

 
国務院貧困者支援弁公室はこのほど、遼寧省の大連で「貧困者支援のための開発を円滑に進め、調和の取れた社会を構築する」をテーマに貧困者支援開発フォーラムを開催した。全国人民代表大会常務委員会副委員長で、全国婦女連合会の顧秀蓮主席が講演したほか、国務院貧困者支援弁公室の劉堅主任は「貧困者支援事業はすでに衣食の問題の解決とその成果を固める重要な段階を迎えている。支援事業では最大限度、衣食の問題が安定的に解決されていない低所得者を対象にしていかねばならない」と指摘した。

顧秀蓮主席は「中国は世界でも貧困撲滅事業の重要な実践者であり、国連のミレニアム発展目標である貧困人口の半減目標を繰り上げて実現した世界で唯一の国でもある。わが国は貧困者支援事業で著しい成果を収めてはいるが、依然として1人平均収入の低い発展途上国であり、発展の不均衡という問題がいまだかなり深刻だ。こうしたことから政府は、貧困撲滅と、収入と発展の格差縮小の問題をさらに高度に重視していく」との考えを強調した。

現在、貧困者支援事業の成果を固める過程で重大な障害となっているのが、貧困から抜け出しても再び貧しい生活を送る人が増えているという問題だ。2003年には1460万人が貧困から抜け出したが、逆に1540万人が再び貧困状態に陥り、結果的に貧困者は増加。2004年末現在、衣食の問題が解決されていない貧困者は2610万人、衣食の問題が安定的に解決されていない低所得者は4977万人を数え、両者を合計すると7600万人近くに達する。これについて劉堅主任は「貧困者支援事業ではこの両者を対象とし、衣食の問題の解決とその成果を固めるという2つの目標を実現していかなければならない」と指摘した。

さらに劉堅主任は「貧困者の支援が難しくなっている、貧困者の地位が低下している、衣食の問題の解決とその成果を固めるといった問題に対処するため、第10次5カ年計画(2001~2005年)期間中に行った貧困者支援のための開発事業の経験を踏まえ、第11次5カ年計画で進める6項目の貧困者支援開発事業を明確に定めた」と強調。その上で(1)引き続き開発型の貧困者支援策を堅持し、これを補助するため救済などの形で貧困者を支援していく(2)貧困者支援にあたっては、衣食の問題が解決されていない貧困者と、衣食の問題が安定的に解決されていない低所得者を対象にすることを明確にすることで、衣食の問題の解決とその成果を固めるという2つの目標を実現していく(3)貧困層を主体に、支援開発事業で利益が得られるようにするとともに、貧しい農家を対象にした調査記録の作成を徐々に進めていく(4)自然、人的資源の開発をともに重視し、貧困者の資質教育を高度に重視して解決するとともに、9年制義務教育を着実に実施し、貧困層を対象にした訓練を強化していく(5)経済と社会の全面的に協調の取れた社会発展を堅持して、貧困撲滅を加速していく(6)「政府が主導し、社会が参与し、自力更生で開発による貧困支援、全面的な発展」の方針を今後も堅持して、全社会が貧困支援のための開発に参与するよう指導するほか、貧困層の参与権を尊重するとともに、貧困層の要望や政策への提言に耳を傾けることで、貧困を減少し、撲滅して調和の取れた社会を構築していく――の6項目の方針を明らかにした。

農村部で実施されてきた全村貧困者支援開発事業モデルはほぼ成果を収めつつある。全国に14万8000カ所ある貧困村のうち2万9900カ所ですでに成果を上げたほか、約3万カ所で現在実施されているところだ。実施した地区ではインフラ整備や文化・教育、医療・衛生、農民の増収、産業の発展、村の発展、民主的法治、基層組織の整備などで著しい進展を遂げた。政府は第11次5カ年計画では、新たな農村計画・構想に基づき、全村貧困者支援事業を継続して貧困者の生活状況を早急に改善するしていく方針だ。

「チャイナネット」  2005年10月20日