「最も魅力のある名鎮ベスト10」にランクされた安徽省の村落・西逓


   
写真は西逓村の入り口に作られた胡文光牌坊(中国式の鳥居)。明の万暦6年(1578年)の築造で、徽派牌坊の代表格と見なされている。
  写真は西逓における最大規模の祠堂――敬愛堂。胡氏一家の祖先を祭るところであり、「敬愛」という言葉には、親孝行と親族仲間の親睦という二つの意味を込められている。   写真は西逓の村はずれ。晋代の詩人・陶淵明の名作「桃花源記」に描かれた理想郷・桃花源によく似ているといわれていることから、西逓は「桃源境の村」と呼ばれている。

宏村とともに「最も魅力のある名鎮ベスト10」にランクされた安徽省の西逓も非常に悠久な歴史を誇る村落である。史料によると、唐の皇帝・唐昭宗の皇子は宮廷内の権力闘争から逃れるため現在の西逓一帯にに辿り付き、姓も皇室の李から胡に換え、ここに落ち着くことになり、今日の西逓村の開拓に取り組ませた。開拓者たちの貴族の気質が代々伝わってきたのか、西逓では、昔から文化と教育を重視する伝統があり、村のいたるところで、書院と祠堂を目にすることができる。明・清の時代になると、一部の読書人が商人に変身して、日本の近江の商人のように商いに携わることになり、歴史に名を残した「徽商」となった。これらの成功した商人たちは、故郷に道路を作ったり、川に橋をかけたり、豪華な部屋を築造するにもかかわらず、祖先を祭る祠堂を建てたり、書院を作ったりして、裕福でありながらも、伝統文化の息吹を西逓に注ぎ込んだ。

     
  写真は徽派民家の代表的な町並み。細くて曲がりくねった小道、白色の高壁と反りあがった黒味がかったひさし、馬頭牆(階段状の切妻壁)など、いずれも徽派建築物の特徴があらわのもの。   写真は西逓の民家に施されている彫刻。ほとんどすべての建築物には、レンガの透かし彫りと木彫が施されており、これらの精緻そのものの彫刻には、中国の古代文化の粋が凝縮されている。
 

「チャイナネット」2005年11月9日