第11次五カ年計画、11のキーワードから見る新たな思想・理念・措置(3)

 

7.社会主義の新しい農村の建設

「建議」は、「社会主義の新しい農村の建設は、中国の現代化プロセスにおける重要な歴史的任務だ」と明確に指摘する。

社会主義の新しい農村の建設における目的と要求は、▽生産の発展▽ゆとりある生活▽文明的な農村の気風▽整然とした村の様相▽民主的な管理――に概括される。これらの言葉は、新たな情勢における農村の経済・政治・文化・社会の発展の要求を表している。

社会主義の新しい農村の建設では、「与えるものを増やし、徴収するものを減らし、自由を与える」「かつて農業に支えられた工業によって農業を支え、かつて農村に支えられた都市によって農村をサポートする」といった方針を堅持し、農民の生活の質を引き上げ、農村全体の様相を大きく変えていくことが必要だ。重点は▽村や町の建設計画と環境整備を強化し、新しい村・町をつくる▽農村の各社会事業を発展させ、新しい農民を育成する▽農村の民主的な法整備や精神文明の整備を強化し、新たな気風を提唱する――などだ。

8.改革の推進

「建議」の鮮明な特徴として、改革により力を入れることで、戦略的な構造調整や社会進歩を促進することが挙げられる。

中国に現在見られる多くの問題点の根底には、改革が十分かつ適切な形で行われていないことや、制度が整備されていないことにある。中国のマクロ経済に周期的な波が見られる原因としては、マクロ管理体制やミクロ経済運営システムの改革が十分さと適切さを欠くことが挙げられる。経済成長モデルが粗放的なのは、政府の役割転換や財政・金融のシステム整備が遅れ、企業改革が進んでいないことと直接関係する。資源の深刻な浪費と低効率な使用は、土地・水・重要鉱物資源の生産権利制度が曖昧で、価格決定制度が非合理的であることと直接関係している。

「建議」は、改革推進の重点について、▽政府行政管理制度の改革推進に力を入れる▽経済上の基本制度を堅持し、整備する▽財政金融制度改革を推進する――の3点を挙げている。

9.対外開放レベルの向上

第11次五カ年計画(2006~2010年)の期間、中国の対外開放は、より複雑な国際環境や国内の発展に伴う新たな要請に直面する。このため、対外開放レベルの向上が必要になる。「建議」は、互恵や利益共有をもたらす開放戦略の実施を明確に打ち出している。これは、第11次五カ年計画の期間の国内発展と対外開放を全体的に計画する重要な指導原則であり、開放のさらなる拡大への指導的方針である。互恵と利益共有をもたらす開放戦略を実施するためには、次の3点が必要となる。

▼貿易成長モデルの転換を加速し、対外貿易を積極的に発展させ、貿易商品構造を改善し、輸出と輸入が基本的にバランスを取るよう努める。

▼効果的な外貨利用を積極的に続け、外貨利用の質を高め、産業別、地域別に外資導入を強化する。

▼条件のある企業の海外進出や、国際ルールに基づいた海外投資をサポートする。

10.公共サービス

「建議」は、政府の役割転換をさらに進め、業務内容を経済調節や市場監督、社会管理、公共サービスに絞っていくことを特に強調している。公共サービスは、第11次五カ年計画の期間中(2006~2010年)、これまでにない程に重視される。同計画では、経済面の数値目標を減らす一方で、人々が関心を寄せる雇用、社会保障、義務教育、公衆衛生、公共の安全など、暮らしや社会に関する数値目標を増やしている。

11.社会の発展

「建議」の指摘によれば、発展は科学的でなければならず、社会主義的な調和の取れた社会の構築を、発展の中に含めていく必要がある。また、経済や政治、文化、社会の整備をバランスよく進め、人の全方位的な発展を促していく必要がある。「社会の発展」は、「建議」の中でも一際注目される言葉だ。経済発展を推進していくと同時に、富の分配をいかに進めるか、利益をいかに調整するか、矛盾をいかに解消していくかといった、社会発展をめぐる問題にも注意していかなければならない。これについて、「建議」は、人々に密接に関わる利益という現実的問題という方向から▽経済・社会のバランスの取れた発展により注目し、社会事業の発展を速める▽社会の公平により注目し、国民全体が改革や発展の成果を享受できるようにする▽改革・発展・安定のバランスにより注目し、社会の安定と団結を維持する――ことを明確に打ち出している。(編集SN)

「人民網日本語版」 2005年11月11日