評論:11次五カ年計画にみる21世紀の中国

 

中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議(第16期五中全会)で、「国民経済と社会の発展に関する第11次五カ年計画への建議」が公表された。この提案を「深く、また長期的な視野からみて、21世紀前半の中国の平和的台頭には、3つの必然的な傾向がある」と読み解くことができる。(中国改革開放フォーラム  劉必堅理事長)

第1の傾向は、中国人は引き続き、すべてのパワーを自らの発展に注ぎ込むだろう、ということだ。改革開放の総設計者である鄧小平は、現代中国のあらゆる問題を解決するカギは、われわれ自身の発展にかかっている、と述べた。鄧小平はまた、われわれは一心不乱に働き、われわれ自身の仕事をしっかり行うべきだ、と話した。中国共産党第16期全国代表大会(共産党大会)は、これを「精神を国家建設に集中させ、一心不乱に発展を図る」という言葉にまとめた。これは、13億人の生存権と発展の権利に関わる壮大な事業である。2030、40年代、中国の人口は15億人のピークに達する。ある意味から言えば、世界人口の4分の1を占める人間の生存と発展の問題という大事業をうまく解決することは、中国の人類に対する大きな貢献となる。また、この問題を解決するために、中国人は数世代にわたって非常な労力を割かざるを得ない。従って、中国はいかなる国家や個人にも、脅威を与える時間も余力も無く、その必要も全くない。(人口増加問題の解決は)近代以降の歴史を振り返っても、いかなる新興の大国も成し遂げたことの無い事業である。

第2の傾向は、中国人は、独立自主(エネルギー資源の原則的国内自給を含んだ)の基盤をしっかりと維持しつつ、経済のグローバル化に積極的に参加する、ということだ。さらに国内と国際の両方の市場と資源を拠り所とし、関わりのあるすべての国と相互に深く依存し合い、協力し合い、メリットを分かち合う道をより自覚的に歩んでいく。

中国は、人口が多い一方で、エネルギーと資源には限りがある。このため、中国人は新しい工業化の路線を切り開き、中国に特色的な節約型社会を築くよう努力していく。第16期五中全会で出された「建議」では、開放型経済を新しい段階に進めるために、2010年に向けた5つの目標が強調された。すなわち(1)国民一人あたりの国内総生産が2000年比で倍増すること(2)単位当たりの国内総生産を生み出すのに消費するエネルギーを、2005年より約20%減らすこと(3)中国における自然環境悪化の傾向をほぼ抑制すること(4)急速な耕地面積の減少を抑えること(5)国際収支のバランスを改善し、開放型経済を新たな段階に進めること――が打ち出された。このため、中国は、内需拡大に引き続き努めていく。また、他国に負担をかけたりすることなく、自らの力で国の発展に伴う諸問題を解決する。こうしたことも、近代以降の世界で、新興の大国がこれまで成し遂げたことのないものだ。

第3の傾向は、中国の平和的な台頭は、世界の他の文明と相互に交流しながら、中華文明が社会主義を基盤に、偉大な復興を果たすことを意味する。中国の平和的な台頭はすでに、物質・政治・精神の各文明と、調和のとれた社会とが足並みを揃えた発展であると位置付けられており、また国民的の資質向上や国内・国外の各方面の調和の取れた関係を構築するものと位置付けられている。

こうした位置付けにより、根本的な方針はすでに形成され、平和的かつ文明的、開放的な道程が開かれている。まさに、中華人民共和国を打ち立てた毛沢東が、1950年代に「中国は大きな強国となり、しかも人々に親しまれるだろう」と述べた通りになるだろう。また、改革開放の総設計者である鄧小平が1992年の南方講話で「社会主義中国は実際の行為によって、中国は覇権主義や強権政治に反対し、覇権を決して唱えないと、世界に示すべきだ。中国は世界平和を維持する安定した勢力である」と断言した如くになるだろう。これは当然、世界史上でも有意義な大事業であり、中国はこの路線を真摯に実行し始めつつあり、しかも今後長く続けていくことになるだろう。このことも、近代以降の世界で、台頭する新興大国がこれまで成し遂げたことのない事業でもある。

「人民網日本語版」 2005年11月11日