小泉首相の靖国参拝問題について 
王毅大使がメディアの質問に回答②

 

一部の日本人は、中国が政治的目的で、首相の参拝に反対している、A級戦犯の問題が解決されたとしても、中国側がまたB、C級の責任問題を持ち出す、あるいは、靖国問題が解決されても、中日関係が大きな改善が見込めないと見ています。それについて王毅大使は、改めて中国政府の立場を説明しました。

「率直に言って、それらの疑念にはいろいろな誤解があるか、一部の人がわざとそのような論調を持って、靖国参拝に固執するための理論付けをしようとしています。中国は1985年、A級戦犯が靖国神社に祭られているのが世界に知られた時から、日本の指導者の靖国参拝に反対してきました。時は冷戦下で、"中日蜜月"と言ってもよい時期でした。この中国の立場が今日まで、いささか変わっておりません。どうしていまになって、政治利用になったというのでしょうか。

B・C級戦犯の問題については、中国側がずっと外交問題にしなかったのです。中国は建国当時、約千名近くのそういう戦犯を旧ソ連から手渡され拘留したが、当時、中国の指導部の意志で人道的な待遇を与えたわけです。そのとき、中国はまだ貧しく、ご飯をまともに食べられなかったが、しかし、日本人がお米が好きだということで拘留所の中国人のスタッフがまずい高粱を食べて、貴重な米を日本の戦犯に食べさせました。そして彼らにあの戦争の侵略性と残虐性を認識させるのに努めました。彼らの多くは、それによって自分が鬼から人間に復帰したと感想を述べています。1959年から1964年にかけて、われわれはすべてのB、C級戦犯を釈放し、日本に帰国させました。ですから、A級戦犯の問題が解決されても、またB・C級戦犯のことを持ち出すという言い方がまったく根拠がないし、中国側の政策でもないのです。

当面、中日関係はいろいろな問題が存在しております。しかし、靖国参拝問題が中日関係を影響する最大な原因であることを中国の国民が一般的に認識しております。言い換えれば、靖国問題が中日関係全般を妨げるネックとなっております。この問題を乗り越えていけば、中日関係の雰囲気が一挙によくなり、両国政治関係が全面的に改善され、指導者の間の基本的な信頼も回復され、トップ級の会談あるいは相互訪問にもつながっていきます。そして、一連の具体的な問題の解決の糸口も見出されるでしょう。」

今回の小泉首相の靖国参拝は中日関係にどんな影響を及ぼしたかの質問に対し、王毅大使は「すべての隣国との善隣友好関係を目指すのは中国外交の基本方針であります。中国政府と歴代の指導者が、日本を最も重要な隣国の一つとして、ずっと重要視し、両国関係を大切にしてきました。さきの戦争が終わって60年もたった今、われわれは歴史問題が再び両国関係の障害になることを目にしたくありません。"歴史を鑑にし、未来に向ける"という、つまり前向きな方向を再三提唱しています。

今年は戦後60周年に当たり、靖国神社問題は今まで以上に敏感になっています。日本国内の多くの民衆、中国をはじめアジアの隣国の国民が今年こそ参拝に行かないように、8・15の反省の談話の精神を行動をもって示されることを期待していたのです。しかし、首相のいわゆる「適切判断」が靖国神社への再度の参拝でした。日中友好を重視すると再三表明されていますが、あえて13億の中国国民の最も目にしたくないことをして、その悲惨な戦争の記憶をもう一度思い出させることが、隣の国の民衆が喜んで受け入れることが到底できないのです。そして、参拝その日の朝、ちょうど中国の有人宇宙船「神舟六号」が成功裏に帰還されるときでした。中国が国民こぞって祝っている最中、世界各国から祝賀を送られている中で、隣人の日本からの「プレゼント」は、なんと靖国参拝でした。参拝自体が33年前の中日国交正常化の原点が覆されそうになりますので、いろんな意味で両国関係にマイナスな影響を及ぼすことになるでしょう」と答えました。

「CRI」より 2005/11/25